7 反響
【豆知識】
アトリムグラス・・・中性性別。人生に一度だけ、性別転換ができる特別体質。架空の存在。
無事に撮影が終わって、そのあとからちょくちょくPCで連絡をとっている。
僕はアトリムグラスとして軍に見張られている。
それをいいことに、ローザとの通信が叶っている。
アトリムグラスもなかなか悪いもんじゃないな。
通信しているのは『ローザ君』であったり、『ローザちゃん』だったりする。
どちらも本人で、僕を「愛している」と言う。
「男性と女性、どちらがタイプ??僕は心、男」
「じゃあ、男」
「本当なのっ!?」
「うん」
「君は―・・・性別転換、考えてる?」
「うん、今まさに」
「それで、どうなりたいの?」
「アトリムグラスは、男性、女性、両性を選べる」
「なるほど・・・」
「参考までに聞くけど、僕のどこが好き?」
「全部」
「僕の何も知らないくせに」
「僕、君の全部が好き。存在が」
数秒、唖然としていたけれど、僕は涙を流してしまった。
「僕、怖いんだ。不安なんだよ」
「どんなこと?」
「これがどっきり、ってやつだったらどうしよう、って・・・」
「どっきり、って何?」
「説明がムズカイシっ」
「分かった、分かった、あとで調べておくから。僕、君が女性なら子供欲しい」
「・・・え?」
「本当」
「前に、子供は望んでいないってインタヴューで・・・」
「知ってるんだ?僕、インタヴューはイメージ守るくらいしかしてない」
「好きな食べ物、ケーキじゃないの?」
「嫌いじゃないけど、僕が好き食べ物はカステラだ」
「・・・はぁ!?カステラをケーキだって思ってたの?」
「いや、違うよ。違う、違う。大丈夫。大丈夫です。君のことが大好きです」
「ヤバい、僕って時々めんどくさいやつなんだよ!」
「どこが?」
「・・・え?」
「君と話してると楽しいよ」
「そうなの?」
「うん」
「・・・実はね、家の前に爆発物だと思しきものが置かれてあったりとかした」
「・・・そうか・・・極秘のはずなのに・・・内部に何かいるかもしれない」
「今回はこれくらいで区切って下さい」
自衛隊がそれを言うと、カメラ画面はふつりと作動を終えた。
翌日、極秘のはずのPCでの会話がゴシップに流れていた。
動揺している母に起こされて、テレビをつけたらその場面だった。
僕がアトリムグラスであることが勝手に流れていた。
そして、担当の自衛隊員は、軍を辞めて外国に引っ越したあとらしい。
家にファンとアンチがおしかけた。
その対処に警察と軍までもが働いた。
ボシュンは家から出たくないって言うし、存在が知られるとまずい。
なので家ですごすことに。
窓を割ろうとしたのは近所の悪ガキで、逮捕。
ステンドグラスだったからだ、と言われた。
なんだか苛々(イライラ)する。
ステンドグラスは光の影を落とす。
時々、目が痛い。
・・・なんでそんなこと書き出してるんだろうう?
うん、まぁ、いいか。
ボシュンが今、ぴょんぴょん跳ねて踊っている。
どうしたの、って聞いたら・・・
「オーイェイ、アーイエィ、ラッヴィーング♪、俺様は、ラビット♪」と歌っている。
問題は母で、動揺が落ち着かない。
心配だ。
窓を開けてみたら、「へんたーい」と叫ばれた。
さすがにショックで、理解するつもりのない下品なひとたちに呆れた。
悲しい性だ。
変わってほしいのか彼らの人格の詳細は分からないけど、
滲み出る彼らとの少なからずの対面の印象で、絶対的に関わって欲しくないと思った。
アンチ最悪。
足広げろとか言われた過去を思い出してしまった。
今回の絵お話には個人情報保護法をやぶる自衛隊員が登場しますが、実際にそんな事実があるのか詮索しないで下さい。こちら責任はとれません。