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望郷リベンジャーズ  作者: DARVISH SHUSAKU
7/7

【Chapter7】誓いと始まり

 ヒナの生きる世界線へたどり着いたタカミチ。喜びを噛み締めてはいたが、未来の自分たちの様子が気になりはじめる。試しに未来へタイムリープ出来ないかをゆうたに提案したたところ、本当に未来へたどり着いてしまう。将来の自分はどんな家族を築いているんだろう…そんなワクワクを胸に未来へ。果たして彼が思い描いた景色にたどり着けたのか?!堂々の最終回です。

試しにゆうたへ“壁ドン”を慣行してみたタカミチ。


未来を見てみたいという彼の想いが通じたのか、

予想は当たり、見事に数年後の四万十町にたどり着くことが出来たのであった。


たどり着いたのは町から少し離れた四万十川の川沿い。

道はしっかり舗装されいて、荒れた部分は見当たらなかった。車の往来も盛んでインフラがきちんと整備されている証拠だ。


清流と自然は変わらず豊かで、町も以前より活気が出ているようである。


自分がこの礎を作ったんだと改めて実感しながら、ヒナの自宅を目指した。



・・・・・・・・・



た:ここは5~6年後くらい先なのかな…

未来になっても変わらない自然豊かな四万十川の景観…


心底安心したよ。

なんだか外国語の標識ばかりで日本語の標識が無いのは気になるけど、まぁ海外の観光客が多くなってるってことの裏返しなんだろうな…

川沿いにはなんだか立派な別荘も建ってたし…

もしかして四万十川が、「世界自然遺産」とかになってたりして…

しかし、やけに中華系というか外国の人ばかりだな…

なんつうかここ数年でアジア人の観光客が増えましたってことなのかな…

ここまで看板も全部中国語だし。



壮大な自然を噛み締めながら、川沿いの道からヒナの家に向かう。




た:さてと…もうすぐヒナん家だな。

俺たちどうなってんだろう。結婚はさすがにもうしてるよな…




町中へ入った途端、運良くヒナを発見する。

しかし彼女の表情は冴えず、どこか悲壮感が漂っていた。

それでもタカミチに気づいた彼女は、少し驚きながらも話しかけてきた。




ヒ:あれ、たかみち君。こんなとこで何してんの?まだここに滞在しても大丈夫なの?

た:ヒナ!って…たかみち…くん?なんで?

俺たち何も進展してないってこと?

それに何引っ越しみたいなことしてるんだ。

それにその…結婚とかは…


ヒ:何言ってるの、今時結婚なんて裕福な家庭か、特権階級くらいしかできないの知ってるでしょ。私たちは税金納めるので精一杯なんだから。


た:なんだよその特権階級って。


ヒ:タカミチ君こそなにとぼけてんのよ。

地元のほとんどの人が土地の税金払えずに家を売るか出稼ぎに行くしかなくなったんじゃない。

私も明日には武漢へ長い間出稼ぎに発たないといけないから急いで準備していたのに。


た:え?え?なんで税金がそんなにかかるんだよ。

それに、武漢…って中国だろ?

みんな出稼ぎとかでどっか遠くに行ってしまったってことかよ。

なんでヒナまでそんな異国の遠い場所に働きに出ないといけないんだよ。


ヒ:今更何を言ってんの?

もうここは日本じゃないの。

中国の領土になったの忘れたの?

この自然も土地も私たちの場所じゃなくて、中国の別荘地になってるって知ってるでしょ。


た:そんな馬鹿な!じゃあこの四万十町は…


ヒ:もう「内 四国・四万十自治区」になってるよ。

何を今更。たかみち君家ももう出稼ぎか自宅売却しか生活の方法がないんだから早く働きに出た方がいいよ。

国は…元日本国民には何も援助がないんだから自分の暮らしを守るためには仕事があるところへ出ていくしかないんだよ。

知ってると思うけど、あたしは明日発つから。

もう行ってしまえば次いつ会えるかどうかわからないけど…でもね、私頑張って生きるよ。



呆然としているタカミチを横目にヒナは時計をみながら話す。



ヒ:…ごめん、たかみち君。…準備あるから。


た:ヒナ…そんな…嘘だろ…

ヒナが出稼ぎで海外へ行かないといけないなんて…どうなってんだこの町は!

それになんだよ…「四万十自治区」って…


そんな…

嘘だ嘘だ嘘だ!

こんな未来… 

そうだ! ゆうた! ゆうただ! 警察署だ!

ここがもう日本じゃないなんて!

なんだか悪い夢でも見てるみたいじゃないか!




タカミチは息を切らしながらゆうたのいる警察署へ向かった。

この未来はどうなってしまったんだ。なんでヒナが……

頭の整理に必死だった。

息を切らせながら警察署へ乗り込みタカミチ。


・・・・・・・・・・・

た:すいません。誰か!


警官:ニーチーダウ チュークースーデ イースーマー?


た:うるせぇよ日本語しゃべれよ!

ゆうた!

ゆうた居るだろ!

出てこい!

どうなってんだ。コレ!



窓口の警官はカタコトで話してくる。それだけで不快だった



警官:誰だね君は。まだ日本人の滞在者がいるのか。

よっぽど裕福な家庭でないと暮らせないのに君はどこの日本人だね。


た:“日本人”とか言うな!

なんで当たり前のように受け入れてんだ!ここは日本だぞ!


警官:君ね、あまり日本を声高に言うと捕まるよ。

ドローンなどで点数の低い人間は常に監視されている事を忘れないように。

「ユータ」?…あぁ、タチバナ君だね。

待ちなさい。

呼んでくる。


た:(うそだ!うそだ!こんな悪夢のような世界!未来の俺たちはここに暮らすことすら叶わなくなるっていうのかよ…嘘だろ!)




程なくしてゆうたがやってきた。

顔は歳のせいか かなりやつれ、表情に覇気は無かった。




警官:君を指名しているみたいだ、取り繕ってあげてくれ。


ゆ:はい…。


た:おい!これはどういうことだよ。

ヒナが…ヒナが明日にでも海外に売り飛ばされるみたいになってるじゃんか!

どうなってんだよ!

悪い夢じゃないんなら説明しろよ!


警官:日本語は苦手だ。ユータ君、担当をタノダヨ。


ゆ:…承知しました。


た:おい!なんとか言えよ。


ゆ:たかみちさん。…あなたは未来にきたばかりのタカミチさんですよね。



ゆうたはシワだらけの表情から絞り出すように声を出す。



ゆ:…残念ながら、もう…どうしようもなかったんです。

 日本は事実上中国の属国となりました。

もうこうなった以上僕ら日本のイチ警察官がどう動いても変えることは出来ません。

日本の暮らしやすいところや自然の豊かなところは、ほぼ中国のリゾート地として権力で土地を塗り替えられてしまいました。

もう僕ら行政が太刀打ちできるような問題じゃなくなったんです。


どうしようもないんです。国が相手じゃ太刀打ちできませんよ。

僕も、日本人が納得がいかず暴動が起きた時の仲裁要因として配属されているだけで、もうそんな長くこの町にいることは出来ません。

姉も、家族も…生活を守る為どうしようもなかった…

どうすることも…どうすることもできなかったんです。



た:だからってすんなり受け入れてられるかよ!

何が「四万十自治区」だよ。

俺とヒナが必死で守ってきたこの町を…俺たちの町をわけのわからん奴に実権握らされて平気でいられるかよ!


ゆ:たかみちさん!だからもうどうしようも…


た:うるせえよ!


ゆ:たかみちさん…分かってください…国が相手じゃもう…


た:うるせえ!コレはオレの人生のリベンジだ。諦めない!


ゆ:でももうこうなってしまっては…


た:だからお前がいるんだろ。

壁だ!

壁!

またタイムリープして、来るべき未来に向けて対策練れるだろ!

あきらめねぇ!

いや、諦められるわけがねぇ!


ゆ:たかみちさん!問題の規模が違いすぎます。


た:だから諦めねぇって言ってるだろ!

たとえ国が相手だとしても…運命様上等だ!


ゆ:そんなこと言ってももう僕には…



タカミチはゆうたの方を力強く掴む。

表情は怒鳴っているわけではなくしっかりとゆうたを捉え、芯のある声で話した。



た:いいか…こうなったら、もう日本を…

国を根本的に変えていくしかないんだ!

現代に戻ったらおれが、日本をもう一回洗濯してみせる!

腐りきった日本の政府を変えるチャンスがあるならなんだって乗り越えてやるよ。

何度だって諦めない。

道はきっとある!

ヒナが…教えてくれたんだ。

あの時…四万十から始めるって……約束…したんだ!あいつと。


ゆ:タカミチさん…


た:俺とお前で何度でもやりなおす。来るべき未来を変えていくのは俺たちだ。


ゆ:日本を変える…なんて土台考えてもみませんでした…でも。


た:できる! 

未来を変えるなら「今」を変えるしか打開策はないんだ。

あいつが笑って暮らせるような未来にするために。

約束の未来に連れていくって……ヒナに誓った!

まだ、うちらと同じような状況に陥っている町は日本全国に沢山あるはずだ。

俺たちのリベンジは今はじまったばかりなんだ!




‹終わり›

 近未来の日本と世界情勢に関して少しでも沢山の方に感心を持ってもらいたいと思い制作しました。当時大人気だった「東京リベンジャーズ」のオマージュを入れつつ、決して重たくないコミカルな作品に仕上げています。

全7部構成、これにて終了です。ここまで読んで頂き大変ありがとうございました。

引続き、この作品のオピニオンやレビューを見てみたい方は、ブログに遊びに来て下さい。

http://shu-darvish.com/2024/06/14/revengers/

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