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望郷リベンジャーズ  作者: DARVISH SHUSAKU
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【Chapter3】『四万十卍会』の抗争を止めよ

 近未来の日本。過疎化で荒廃した故郷・高知県から逃げてきたタカミチ君。しかし、ある日故郷のインフラ整備が不十分だった事で昔の彼女・ヒナが道路事故に巻き込まれ、亡くなってしまったという訃報を聞きつける。壁ドンで偶然タイムリープできることを知ったタカミチとヒナの弟・ゆうたは、過去に戻ってヒナの命を救う未来を提案する。その障害として『四万十卍会しまんとまんじかい』という組織が浮かび上がった。

またである。

急な光りに包まれたタカミチ。


た:な…なんだよ。一体どうなったんだ。急に光に包まれて…


…ん?

……ここは?

………ってなんだか俺の手、ごわごわしててオッサンくさい…まさか…



鏡に映った自分を見て、たかみちはなんと現代に戻ってきてしまったことを理解する。

場所は故郷の近くだったので、とりあえず近辺を歩き、次第に状況を受け入れ始めていた…

夢を見ていたのか、自分は現代に戻ってきたんだと。


そんな矢先。

後ろから車越しに勢いの良い声がタカミチを呼ぶ。



ゆ:たかみちさん!たかみちさん!!

よかった。無事だったんですね。

僕です。ゆうたです。覚えてくれてますか?

とりあえずは、まず僕の事務所に来て下さい。

車をご用意しています。乗って下さい!


た:覚えてるも何もさっきまで小さかったのに急にデカくなってるからビビったよ。

俺よりもなんか身長高いし、雰囲気もなんだか違うというか…表情が凛々しくなってるし。……っておまえ、まさか今仕事は!?


ゆ:そうなんですよ。気づきました?

僕は今、警察官なんです。ゆうたさんが未来を変えてくれたんです。

四万十町内では話してくれた通り紛争が起こり、見事に荒廃してしまい悲惨な状況になりました。

だから僕ら警察官が懸命に対応に乗り出しているのです。



驚いたタカミチだが、その風貌に納得せざるをえない…



た:そうか!っていうかおまえ役場よりもこっちの方がにあってるよ。

いや~無事警察官になれたか…良かったよ。

…いや!そんなことよりもだ!その……ヒナは!?


ゆ:残念ながら荒廃した道路の事故に合い死んでしまった事実は変えられていません。

姉はたかみちさんの言う通り道路事故に巻き込まれてしまいました。

姉のことは本当に悔しいです…。


た:そうか…なんてこった…あの時“壁ドン”してでもヒナにハッキリ伝えていれば…


ゆ:そうなんです!。その“壁ドン”のおかげでたかみちさんが過去に戻り未来を変えることが出来たんです。


た:おかげ?壁ドンがか?


ゆ:だから落ち込まないで聞いてください。

どうやらタカミチさんは僕に壁ドンをすることで、過去にタイムリープすることが出来る体質みたいなんです。


た:タイムリープ?なんだそれ?


ゆ:簡単に言うと、過去に一時的に戻ってその過去の出来事を書き換えることが出来るってわけです。すごくないですか?

そのおかげで僕は実際に警察官になれたわけですし。

四万十町…この町のの内情を知ることが出来たわけです。

あの時渡してくれたメモの日に、その通りの事件が起こったので、たかみちさんの言ってる事に対して確信が持てたんです。

過去を変えてくれたんだって。


た:なるほどな…。

おう…

おう……だんだん分かってきた。つまり俺が過去にまた戻って、町の荒廃を防ぐ為の布石を打っておけば…


ゆ:事故は起こらずに姉は助かります。


た:なるほど。ってかおまえ昔に比べてえらい前向きになったなぁ。


ゆ:あなたが変えてくれたんですよ。僕の運命や気持ちが好転できたように姉の運命だって変えることが出来るかもしれない。

あなたにはその可能性があるんです。


た:いいぞいいぞ。希望が見えてきやがったじゃんか。

じゃあ早速壁ドンして過去へ行って…


ゆ:ちょっと待ってください。

だからってただ過去に行っても何か変えることは難しいでしょう。

内乱が起こってるくらいの規模なんです。

そこで、過去の四万十町の情勢がどうなっていたか?

そしてそこをどうテコ入れすれば今の四万十町が変わるかというのを警察の視点から説明します。


た:おう。要するに重要人物がいるってことだな。

しかもちゃんと調べてきたんだな。

警官が板についてるじゃねぇか!


ゆ:はい。過去を変えたあなたに再開するまでは半信半疑だったのですが、お会いした時に説明しようと決めていました。

こちらのホワイトボードをご覧ください。

警察の方で調べた今起こっている問題を説明します。重要なのでしっかり聞いてください。



事務所へ到着したゆうたは、さっそくホワイトボードと写真を元に、この時を待っていたとばかりに町のいきさつを話はじめた。実にスムーズである。




ゆ:まず、四万十町の地図です。

この四万十町全体を仕切っていたボスがいます。

それが四万十川の鮎マニア。

そして『四万十卍会しまんとまんじかい』の鮎宮寺堅でんぐうじけん。通称アユケンと呼ばれています。トップである彼がおかしくなってから四万十町の衰退が激しくなったといっても過言ではないです。

よって、彼とうまく関係を取り持つことが未来の四万十町のかじ取りとして必要です。


た:でも『四万十卍会』って大きな組織のトップだろう。そんな組織が当時社会人未経験の俺なんかの相手をしてくれるのかよ。


ゆ:その点は大丈夫です。組織に潜入する為の情報を調べておきました。

彼は非常に用心深い人間ですが、とある合言葉を言えば味方だという確信を持ってくれます。

年齢や立場は関係ありません。ただしきちんと合言葉を言わないと以後一切かかわってくれなくなります。


た:初めが超重要ってことか…

でもそのためのミソを抑えてくれているから助かるぜ。ゆうた。


た:彼とうまく顔見知りになったところで彼の仲間たちをうまく取り持つことが彼との信頼関係を築くことに大きく前進します。組織の人間を取り持つ事ができます。

早速ですがアユケンさんがおかしくなった一番の原因。

『四万十卍会』組織の一番隊隊長「林田鮎樹はやしだあゆき」。通称「パーチン」と呼ばれている彼。


た:パーチン?


ゆ:パーチンです。発音が違いますよ。"パーチン"です。


ゆ:…そして、隣町の西土佐出身、彼の元盟友で二番隊長だった男。

本名は分かりませんでしたが、彼はおでんが大好きということから、通称「オデンスキー」と呼ばれている彼。

一番隊二番隊という良好だった彼らの仲が、ある時から急に悪くなり、ある時オデンスキーさんが、謎の組織の仲間に入るという事で、パーチンのたもとを分かったのです。

その後、裏切られ怒り心頭のパーチンがオデンスキーの実家である西側の「西土佐」へ侵攻し始めたのです。”西土佐侵攻”と呼ばれるこの軍事作戦が未来の四万十町に大きく影を落とすことになります。


 しかし四万十卍会としても、このままでは四万十川の下流から海への退路が断たれてしまうということで、パーチンも引くに引けなくなり、町外だけでなく県外、全国からも総スカンが入るくらいの紛争に発展してしまいます。


そして税金という名の予算を入れてもらえなくなった…いわゆる”経済制裁”を呑むしかなくなった四万十町は急激に衰退していくのです。


調べていくうち、「根っからの悪党で常に強いのは俺たち」、通称NATTOナットウという謎の組織がアユケンの仲間であるオデンスキーを調略させていて、争いを裏で仕込んでいるという噂を聞きますが、こちらは現在調査中です。


とにかく、アユケンさんの仲間達が追い詰められて無茶をした結果、殺伐となった現在に繋がっているのは事実です。現未来ではアユケンさんも抗争に巻き込まれ、殺害されており、仲間たちは刑務所に服役中です。

パーチンが追い詰められて無茶をしないように。これ以上オデンスキーさんとの溝が深くならないように抗争が始まる前の10年前に戻ってなんとか説得してくれたら…四万十町の荒廃が免れ、姉も助かります。

お願いです。アユケンさんに会って2人の仲を取り持ってください。

大変なのは分かっています。

でも姉だけでなく地域の住民の事を考えると、変わるポイント・可能性はここなのです。



普段こんな長い話など聞かないタカミチ。

しかしヒナの命がかかっている。

人生で一番頭を働かせた。



た:長い話だったけどさ。

わかったよ。

要するに、パーチンとオデンスキーの抗争が始まってしまう前にアユケンっていうボスに仲介してもらう段取りを組めってことだろ。

やってみるよ。それでヒナの命が助かるんなら。

…ついでに四万十町の自然や暮らし、未来が守られるなら俺が救ってみせる!

俺だってこんな未来嫌だしな。


ゆ:四万十町が経済的に孤立したらどのみち荒廃は避けられません。

争いが起こる前に根元を断つ事です。

たかみちさん。厳しい旅になりそうですが、姉を救って下さい。

僕にできるのはこれくらいしかないんです。お願いします。



深々と頭を下げるゆうたを見てタカミチも覚悟を決める。



た:分かった。

お前の勤勉で見違えるような姿見てたらやってやるって気分になったよ。

もし難しそうだったら過去のお前使って戻ってくる。


ゆ:頑張ってください。こちらも何か手掛かりになるようなことがあれば調べておきますので。


た:ああ。じゃあ…変な気分だけど壁際…行こうか…


ゆ:はい。まさか“壁ドン”がタイムリープのトリガーになるとは思いもしなかったのですけど。


た:はは…そうだな。じゃあ体張ってくる。



タカミチがゆうたに壁ドンをすると本当に光りに包まれ、10年前のタイムリープが起こるのであった。

故郷から逃げてきたタカミチの人生。今そのリベンジが始まる。

 近未来の日本と世界情勢に関して少しでも沢山の方に感心を持ってもらいたいと思い制作しました。はじめは舞台脚本として2022年に執筆。ウクライナ侵攻が始まった年です。その時の情勢を若い世代にわかりやすく伝えるために、当時大人気だった「東京リベンジャーズ」のオマージュを入れつつ、決して重たくないコミカルな作品に仕上げています。

衝撃のラストまで全7部構成です。楽しみながら世界情勢に関して感心を持ってもらえたら幸いです。

引続き、この作品のいきさつを見てみたい方は、是非ブログへ遊びに来て下さい。

http://shu-darvish.com/2024/06/14/revengers/

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