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同じ銀貨一枚でも、売るのは子供を育てられない貴族だった

一話完結型予定です。

完全不定期です。

「ほんぎゃぁー」と一声あげた瞬間に私は銀貨一枚で親に売られた。


 ここは貴族でも最も高位と言われる公爵家で、同じく銀貨一枚で買われてきた子供が七人居た。

 全員同じ月に生まれ、同じ月に買われてきた子供達だった。


 子供達には一人一人乳母が与られ、年齢が上がる毎に公爵家の子供として恥ずかしくない教育を同等に与えられ、育てられた。


 義父母となる親は子供を特別可愛がりもしなかったが、邪険にもしなかった。ある意味能力で子供達を推し量っていた。

 乳母達は、元は低位貴族で子育てもできない貧乏貴族の子供だと知っているので、深い愛情は掛けたりしなかったが、粗雑に扱われたことなどなかった。


 子供は子供達だけで肩寄せ合って生きてきたが、ある日義父母に「この中で成績を競い合いなさい」と言われてから、互いを出し抜くことだけを考えて毎日を過ごすようになった。


 数年後、金貨一枚を渡されて「そのお金を増やしなさい」と言われた。

 今までの知識を使って、必死に考えて各々頑張って増やしていた。

 たった一人を除いて。


 その一人は兄弟があくせく稼ぐのを笑って眺めていて、期限の三日前になると七人の兄弟達を殴りつけて全てを巻き上げた。

 その一人は義父母にその金額全てを差し出した。

 六人の子供達にはどうやって稼いだかレポートを差し出すように言い、六人の子供達はその方法をレポートにして提出した。


 そのレポートは添削されて、良いところ、こうすれば良かったなどが書かれて返され「これからも頑張りなさい」と義父母に褒められた。


 六人から金を巻き上げた兄弟はその日を最後に公爵家の家の中で見かけることはなくなった。

 執事が言うには「強盗は強盗が暮らす最適な場所があるでしょう」とだけ言ってその後は何も言わなかった。


 六人は巻き上げられたお金を返され、このまま頑張って資産を増やしていった。

 何人かは他の兄弟達の設けている金額を聞いて、自分がしている堅実な方法では駄目なのではないかと焦って損失を出すこともあった。

 

 十歳になる頃、また新たな子供達が買われてきて、六人の新しい弟たちだと言われた。

 自分たちと同じように幼い兄弟達は育てられ、金貨一枚を渡され、資産を増やしたり減らしたりしていた。


 金貨一枚の資産を金貨百枚以上にできた子は伯爵の位を授爵することができて、結婚相手もあっさりと決まった。

 金貨五十枚以上で子爵位、金貨三十枚以上で男爵位を授爵した。


 義父母は笑顔で「よく頑張りましたね」と子供達を送り出した。



 この国は戦争が長引き、貴族であっても貧困で喘いでいた。

 減りすぎた貴族を増やすためにも、生活に余裕がある家に王家から多少の資金を回して、優秀な子供を育てることに力を入れていた。

 その一期生となるのが六人の子供達だった。


 一緒に育った子供達は互いに助け合い、弟たちに助言も与えた。

 優秀な子供が妻を得て、生まれた子供にも自分が育てられたように優秀な子供になるように育てた。

 ただ一つ違うのは、実子には惜しみない愛を与えて育てた。

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