骨と皮だけの枯れ枝のような子供が落とした小石
一話完結型予定です。
完全不定期です。
親方に稼ぎが悪いと殴られて、今日の飯は取り上げられた。
「飯が食いたければもっとちゃんと稼いでこい!!」
つばを吐きかけられて、俺はもう死にそうだと思っていた。
ここの所うまく稼げない。
一日一食しか貰えないのに、その一食も稼ぎが悪いと言って貰えない。
腹が減っているから、遠くまで行けないし盗みをして捕まったら死んだほうがマシだと思うほど親方に殴られる。
親方が兵士の人達にこっぴどく叱られるそうだ。
子供達にどんな生活をさせているのかと。
俺は両親に銀貨一枚で売られたそうだ。
銀貨一枚って凄い大金なんだ。
俺達が頑張ってどれだけ稼いでも鉄貨二十枚にもならない。
だから飯は一食だし、鉄貨二十枚以上でないと飯が貰えない。
こんな所抜け出して孤児になった方がもっといい生活ができる。
俺は一度兵士の人に親方に飯も食わせてもらえないと訴えでたことがあったけど、誰も何もしてくれなかった。
一人だけ、パンを恵んでくれる人がいた。
あの人はいい人だったな・・・。
俺はもうそろそろ死んじゃうんじゃないかと思っている。
翌日、這いずって門まで辿り着き門の外へ出てそこで寝転がって死ぬのを待った。
兵士たちに何処かへ行けと言われたが、俺がもう動けないことは理解できたのだろう。
兵士より偉い人が呼ばれそのまた上の偉い人が呼ばれ、話しかけられたけど、答える力はわずかしか残っていなかった。
「た、の、む。こども、を、たすけて・・・」
口の中に薄い味の付いたスープを飲まされたが、口の中に広がるだけで飲み込めなかった。
それは幸せの味だった。
そして、俺の一生は多分、六歳で幕を下ろした。
そこは苦しみが何もない世界で、先に骨と皮だけになって死んだ子供達が体に肉がついて頬には赤みが差して笑っていた。
当然知らない子もいて、皆子供の頃に死んだ子たちだろうか?
幸せそうに笑っているのが、俺も嬉しかった。
俺も仲間に入れてくれるのか、手を繋いで明るい光の中に引っ張られていった。
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こんな枯れ枝のような子供がいていいのか?!
もう自分で食べ物を呑み込む力もない子がいていいのか?!
この子は自分を助けてほしいのではなく他の子供達を助けてくれと言った。
私はそれを実行できる立場にいる!!
私がやらなくてはならないことだ。
「この子がどこの子か解るか?!」
俺が怒鳴りつけると一人の兵士が「ガンテツのところの子供です」
「ガンテツ以外に子供を奴隷として食事も与えていない者を探し出せ!!」
「は?」
「二度とこんな枯れ枝のような子供を作らせないように指導しろ!!子供に飯を与えないやつはどんどん捕らえろ!そして少しでもマシなところへ子供を移動させろ!!」
これは夢物語だろう。
どれだけ一貴族が頑張ったところで、国が子供を売買することを認めている以上どうにもならない。
それでも死んだ子供は小さな石を一つ水面に落としたことには間違いないだろう。
一貴族は街の外れで子供達に炊き出しを週に二度出すようになった。
焼け石に水ではあったが何もしないよりかは、ましなのかもしれない。
食事時になったら子供達が食事を与えられているか兵士を見回りに行かせるようになった。
それも一日に二度。
骨と皮で枯れ枝のような子供達は少しは見られるようになった。
きっとこれもいつまでも続くものではないだろう。
でも、何としても子供を守らなくてはならない!!
大人の責任として!!