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買われた子供が産んだ子供は、やはり売られていく

BAD ENDのお話です。

嫌だなと思われる方は読まないほうがいいと思います。

 初めて馬車に乗れると聞いて嬉しくて飛び乗った。

 村をぐるりと一周してそれだけで家に帰ると思っていたのに・・・。

 なのに馬車はどんどん村から離れていって、足首に鎖がつけられた。


「お母さん!!お父さん!!」

 私が泣き出すと、周りにいた子も泣き出した。

 御者台に座っている人に「五月蝿(うるさ)い!!」と怒鳴られて、怖くて泣き声を上げられなくなった。


 いつまでも泣いている私が鬱陶しくなったのか「お前は親に銀貨一枚で売られたんだよ」と教えられた。

「嘘だっ!!」と言い返したが御者席に座っている男は「本当だよ」と言って「あきらめな」とも言った。


「おじさん人買いなの?」

「そうだよ」

「私はどこに連れて行かれるの?」

「お前を買ってくれる人のとこだよ」

「私、また売られるの?」

「そうだよ。高く売れるとおじさんは嬉しいが、お前にとっては大変な思いをすることになるだろう」


 私は色んな人に頭の天辺から足の先までジロジロ見られ「口を開けてみろ」と言われたり「服を脱げ」という人までいた。


 私は御者席のおじさんに金貨二枚で売られることになった。

 連れて行かれたのは宿屋で各部屋の掃除から洗濯、調理助手までするように言われた。


 朝は日が昇るより早く起きて水くみをして、お湯を沸かしてお客さんが望んだ時間に起こしに行って、洗顔の用意を渡す。

 その合間に朝食の用意をして、洗い物をして料理を運んで、空いた部屋のシーツやタオルの洗濯をして、昼食の下ごしらえをして、注文を取って料理を運んで洗い物をして、夕飯の下ごしらえをして、洗濯物を取り込んで新たなお客さんを出迎えて夕飯の注文を取って、運んで明日の朝の下ごしらえをして、へとへとになって気を失うように眠りにつくそんな毎日だった。


 いつからか体が馴染んでいって辛さや苦しさは緩和出来るようになっていった。

 その頃から計算と文字を教えられ、お金を扱うようにもなった。

 

 一年が経ち、二年が経ち、十二歳になってしばらくした頃、宿屋の亭主に夜一緒の布団で寝るように言われた。

 今までの中で一番嫌な仕事で、宿屋の亭主を身の内に入れられると次の日は使い物にならなくなった。

 宿屋の亭主を身の内に入れられた次の日は昼まで休むことを許してくれて、親に売られてから初めてゴロゴロすることを許された。


 宿屋の亭主を身の内に入れることになれると、泊まりのお客さんの布団で寝るように言われるようになった。

 お客さんの布団に入らない日は宿屋の亭主の布団に入り「もう体は馴染んでいるから朝から働け」と言われて仕事が一つ増えただけになってしまった。


 私は十三歳でお腹が大きくなっていき、ある日足の間から何かが出て真っ赤に染まった。

 私は妊娠していたそうで、私の体がまだ出来上がっていなかったので子供が育たなくて死んでしまったのだと教えられた。

 三日間仕事を休んでもいいと宿屋の亭主に言われて、一ヶ月誰の布団にも入らなくて良かった。

 

 子供が死んでしまってから一ヶ月が経つとまたお客さんの布団に入り、宿屋の亭主の布団にも入ることになった。

 十四歳になってまたお腹が大きくなり、はち切れそうなほど大きくなった時、激しい痛みに襲われて、長い時間苦しんで赤ん坊を産み落とした。


 子供は宿屋の亭主が人買いに銀貨一枚で売ってしまって、大きくなった胸が痛んで仕方なかった。

 一週間ほどの休みをもらってまた同じことの繰り返し。


 私は子供を六人産んで六人とも銀貨一枚で人買いに買われていった。

 私と同じ運命になるのかと産んだ子供が可哀想で、七人目が生まれたら殺してやるべきではないかと思った。


 そんな馬鹿なことを考えたからだろうか?

 七人目の子供を生むときは私の命と交換だった。


 赤ん坊は元気に生まれてまた銀貨一枚で買われていった。


 私は金貨二枚で人買いのおじさんに売られたけれど、宿屋の亭主は元を取れたのか聞いてみたかった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 今回の話は一番辛い。初めから最後まで悲しかったです。
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