表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

短編

【コント】ポッキー食べてもいいですか?

(電車内。女2人が向かい合って座っている。ボケは窓外を眺めている。ツッコは文庫本を読んでいる)


 ガタン━━ゴトン━━




ボケ「あの……」

ツッコ「はい?」


ボケ「ポッキー食べてもいいですか?」

ツッコ「はい??」


ボケ「ポッキー……」

ツッコ「……どうぞ」


ボケ「ありがとうございます(ポッキーをくわえる)」

ツッコ「……」


ボケ「(ライターを取り出し、ポッキーの先に火をつける)シュボ」

ツッコ「ぅおい!?」


ボケ「はい?」

ツッコ「なぜ火を点ける?!」


ボケ「だって火を点けないとポッキー吸えないじゃないですか?」

ツッコ「ポッキーは吸うものなのか?!」


ボケ「そうじゃないなら何するものですか?」

ツッコ「食べるものでしょう! ココココ、と音を立てて!」


ボケ「まさかぁ(笑)、それじゃまるでそうめんじゃないですかぁ(笑)」

ツッコ「あなたはココココ、と音を立ててそうめんを食べるんですか?! まさか生で食べる派ですか!?」


ボケ「そうめんに火は点けませんよ〜」

ツッコ「でもポッキーには火を点ける派なんですよね? とりあえず電車内で火や煙は起こさないで!」


ボケ「誰かが困るんですか?」

ツッコ「今どき電車内は禁煙当たり前だろ!」


ボケ「これがタバコに見えるんですか!? ポッキーですよ、これ?」

ツッコ「わ……わかってる、わかってる。今のは忘れてください。その……火災の恐れがあるからに決まってるでしょう」


ボケ「ポッキーで火災?! どうやったら起こせるんですか?」

ツッコ「ポッキーじゃない。いやポッキーが原因で火災が起きるわけじゃない。ライターだ、そのライターで……」


ボケ「ライターでポッキーに火を点けたら火事になるんですか?! 初耳だ!」

ツッコ「もっ……、もういいよ。あなた、なんだか面倒臭い。黙ってポッキーをふつうに食べてください」


ボケ「わかりました。火を点けるのはダメ……と」

ツッコ「素直で助かった」


ボケ「じゃ、ポッキー、ふつうに食べますよ?」

ツッコ「宣言しなくていいから、早く食べてくれ」


ボケ「(さっき火を点けかけたポッキーをぽいと床に投げ捨てる)」

ツッコ「捨てるんかい、それ……」


ボケ「(新しいのを一本、取り出す)」

ツッコ「……(文庫本を読む目がどうしても目の前の女を見てしまう)」


ボケ「(ポッキーを下へ持って行き、お腹より下に当てる)」

ツッコ「ちょっと待て! 何をする気だ!!」


ボケ「(お腹より下にポッキーを押し入れながら)ココココ……」

ツッコ「何の音だ!? 咀嚼音か? 咀嚼音がしてるのか?!」


ボケ「なんですか? 騒々しいなぁ。面倒臭いなぁ。そんなに目の前でポッキー食べられるのが嫌ならはっきり言ってくれればいいのに」

ツッコ「いや、遠慮してほしいと思ってるわけじゃない! あなたはポッキーをどこから食べるんですかと聞いている!」


ボケ「普通、ここから食べるでしょう?」

ツッコ「どこからだ!? 普通はどこから食べるとあなたは言ってるんだ!?」


ボケ「下のお口ですが?」

ツッコ「下ネタはダメだぞ!? それ以上変なこと言い出したら私がこの場を強制終了させるぞ!?」


ボケ「失礼ですがあなた、下にお口、ないんですか?」

ツッコ「ないっ! 断じてないねっ!」


ボケ「(安心したように指差し)じゃ、地球人だ」

ツッコ「当たり前だろう! お前は何か? 地球人ではなく宇宙人だとでも言うのか!?」


ボケ「たかがポッキーの食べ方でそういうことバレてしまうものなんですね」

ツッコ「宇宙人!? 本当に宇宙人なの!? うわっ! 私、宇宙人に会っちゃった!?」


ボケ「ところであの……。ポッキー食べてもいいですか?」

ツッコ「それはさっき聞いただろう!? なぜ改めて聞く!?」


ボケ「ポッキー、食べてもいいですか?」

ツッコ「怖い! 同じこと何度も聞かれるとなんだか怖い! こんなの初めて知った!」


ボケ「ポッキー、食べても、いい、です、かぁ〜〜〜?」

ツッコ「やめてやめてやめて! 電車から飛び降りたくなっちゃうからやめて!」


ボケ「はいっ(ポッキーを一本、ツッコに差し出す)」

ツッコ「え?」


ボケ「一緒に食べましょうよ」

ツッコ「あ、ああ……」


ボケ「仲直りのしるし!」

ツッコ「いや、元々仲はよくないですが……」


ボケ「どうぞ」

ツッコ「あ、はい。いただきます。っていうか、チョコの部分を差し出されると持ちにくいな。柄の部分をもう少し空けてくれます?」


ボケ「じゃ、隣に移動しますよ(ツッコの隣に座る)」

ツッコ「な、なぜに……?」


ボケ「狭いなぁ。もうちょっとそっち寄って?」

ツッコ「は、はい……」


ボケ「(ポッキーのチョコ部分を口にくわえ、差し出す)はい、どうぞ♡」

ツッコ「口移し!? いや、私達、どういう関係!?」


ボケ「旅は道連れって言うじゃないですかぁ〜♡」

ツッコ「やめて! 変な所に道連れさせないで!」


2人「ココココ……チュッ♥」


アナウンス『鳥取〜、鳥取〜』


ボケ「あっ、ここだ。じゃねっ!♥」

ツッコ「何か大事なものを奪われた!(泣く)」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ポイント入れたいのに、前の作品の評価から時間が経ってないから、エラーが起きまくる! 【しいここあるある】ですが、そこが不満です!!!
2024/10/11 23:18 退会済み
管理
[良い点] まさかの百合エンド!! [一言] シュールなシーンが延々と続き面白かったです(笑)
[気になる点] 鳥取……ってことは、山陰線!? えっ、あの地味な山陰線(よく知ってます)の中で、こんな過激なやり取りを!? [一言] やっぱりしいな様の作品は勢いが違いますね。 面白かったです!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ