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最終話 主人公の選択

本日3話目です

 俺は校門で清秀院さんが詩織との話を終え、出てくるのを待った。

 話し合いはすぐに終わったようで、少ししたら清秀院さんが校舎から出て来るのが見えた。


 俺は清秀院さんのそばに駆け寄る。


「優愛、詩織との話はどうだった?」


「無事に終わりました」


 俺はそれを聞いてホッとする。

 詩織があっさり引くなんて、流石は清秀院さんだな。


「じゃあ、あの話は無かった事に?」


「残念ですが平岩さんも恋人になる事になりました。ですので優斗様には3週間後、わたくしと平岩さんのどちらを本当の恋人にするかを決めて頂きます」


「え、なんでそんな話に?」


「それは優斗様の方がよくご存知では? 最初わたくしは何があろうと平岩さんを優斗様の恋人に認めないつもりでした。ですが優斗様は平岩さんにわたくしに知られたくない弱みを握られているようでしたので……」


「そ、それは……」

 俺はすごく焦った。


「いいのです、わたくしも優斗様に知られたくない恥ずかし話の1つや2つありますから。ですので優斗様が知られたくない事を、わざわざ知る必要は無いと思い断腸の思いで平岩さんが恋人になる事を受け入れました」


「優愛ゴメン……」


「良いのです。優斗様が3週間後にわたくしを選んで頂けると信じてますから」

 そう言って優愛は微笑んだ。


「もちろんだよ」

 俺も優愛に微笑み返した。




 ――だがこの時の俺は想像もしていなかった。


 まさか3週間後に、清秀院さんと詩織のどちらを選ぶかで迷う事になるとは。


 前編 終わり。


 ーーーー

 ーーーー


「なあ詩織、この高校の時の話まだ続けるの?」


「当たり前じゃない私たちの愛の記録よ」


「でもさ、これ俺をダメな男に描きすぎじゃないか?」


「じゃあ優斗はアニメの主人公みたいに清く正しかったの?」


「いやそこまでは言わないけど、でも7年も前の事なんだから時効だろ」


 タッタッタ。

 

 その時、わたしと優斗の愛の結晶が部屋に走って来た。


『パパ、ママお腹すいた〜』


『僕もお腹すいたー』


「わかったわ。渚と樹はお昼ごはん何が食べたい?」


『僕ハンバーグ』


『わたしはナポリタンがいい』


「じゃあ、すぐ作るから待っててね」


 ーー


 わたしと優斗は学生結婚し子供2人に恵まれた。

 でもあの日、3週間後の清秀院さんとの決着の日。優斗が選んだのは清秀院さんだった。


 優斗はわたしを選べないと言った。

 その理由は清秀院さんに全く非がない、だから俺を振ったお前を選べないと言うものだった。


 私は清秀院さんとの約束を守り優斗に罠に嵌められた事を話さなかった。


 でもわたしと別れた後、優斗は清秀院さんの所に向かう途中で桐生君に会い。そして清秀院さんたちがした事を何もかも教えてもらったそうだ。


 それで優斗は自分の間違いに気づき清秀院さんに別れを告げた。それから優斗は私を追いかけ来た。大きな道路を挟んで私を見つけると、私の名前を叫んだ。そしてわたしが優斗に気付いたその時、優斗は清秀院さんに後からナイフで刺された。


 血まみれの優斗を見て清秀院さんは逃げ出した。

 わたしがようやく優斗の所に到着すると、優斗はわたしに許して欲しいと言いながら死んだように目を瞑った。あの時は本当に優斗が死んだと思って私は大泣きしてしまった。



 しばらくしてから清秀院さんの証言で優斗があの尾崎晃司の息子と知った時は、優斗も私もビックリした。父親の七光りで優斗は急にモテ始め、優斗もそれで調子に乗って髪型を変えたもんだから尾崎浩司の再来だとマスコミまで騒ぎ出した。それで遂には美人アイドルや声優さんたちまでが優斗目当てに登場した時は焦った。

 まあそれは優斗が父親と同じ歌手となった今でも変わらない、いやむしろ酷くなっている。優斗の事は信じているけど既婚者を口説くのは本当に止めて欲しいと思う。



 最後に報告する事がある。

 優斗に聞いたのだけど近々、桐生君と清秀院さんが結婚するらしい。


 清秀院さんはあの事件のあと、精神的におかしくなってしまい病院に入った。それを支えたのが桐生君だ。

2年前に清秀院さんから優斗と私宛に謝罪の手紙が来た。優斗は清秀院さんは十分に罪を償ったと言って許すした、なので私も許してあげた。


 ハッピーエンドとは言い難いけど、清秀院さんも自分の運命の相手に気付けて良かった。



最後まで読んでくださりありがとうございました。

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