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第1話 主人公は幼馴染の恋人に捨てられる。

高校の授業が終わり下校の準備をしていると幼馴染の恋人、平岩詩織からラインが入った。


彼女は頭がよく学校での成績は優秀。容姿は美人で髪はセミロング、目算で胸はDカップある。陰キャな僕には勿体ない自慢の彼女だ。



__校舎裏で待ってるから早く来て。


 何だろ?


 これからいつものように詩織のクラスに迎えに行くつもりでいた僕は疑問に思った。

だけどそれも一瞬の事、少しでも詩織を待たせると怒られるからすぐに教室を出て校舎裏へと走った。


ーー


「優斗、わたしあなたと別れて別の人と付き合う事にしたから」


「えっ…?」


 急いで校舎裏に来てみたらいきなりの別れ話。

 意味が分からない。


「…冗談だよね?」


「冗談なんかじゃないわ。わたし桐生君から告白されたの、だからあなたと別れて彼と付き合う事にしたわ」


「っ!」


 桐生隼人はクラスメイトで陰キャな僕が高校で出来た、ただ一人の友達だ。

 桐生君が詩織が付き合う?

 そんな事あるわけがない。


「もしかして桐生君と協力して僕を騙そうとしてる?」


「ねえ、あなた馬鹿なの? そんな事して何になるのよ」


「…それは分からないけど」


「はあ。もう一度だけ言ってあげるわ。桐生君と付き合うからあなたとの恋人関係は今日で終わりよ」


「……そんな」


 詩織が本気だと分かった僕は絶望感に打ちのめされた。


 僕と詩織はただの幼馴染の恋人同士なんかじゃない。

 詩織に告白したのは6歳の時で、それからもう10年も恋人として過ごして来たんだ。


 だからー別れるなんて出来ない。


「詩織お願い、もっと詩織に尽くすから考え直して。 悪い所は言ってくれれば直すからっ」


「じゃあそのダサい髪型、顔なんて殆んど見えないじゃない」


「でも…これは母さんが…」


「やっぱり出来ないじゃない、このマザコン! わたしはホントは桐生君みたいにグイグイ引っ張ってくれる男らしい人が好きなの。しかも桐生君はバスケ部のエースで勉強も1番よ、あなたが勝ってるところ何て一つもないじゃない」


 酷いよ詩織。


「…桐生よりずっと詩織の事が好きだし。あっ、料理なら勝ってるでしょ。ほら詩織は料理が出来ないからお弁当だって毎日僕が作ってるし「バカにしないで!」」


「面倒なだけでわたしだって料理くらい出来るわよ。この前、桐生君にお弁当作ってあげたら美味しいって言ってくれたんだから!」


 嘘だろ。

 僕に1度もお弁当を作ってくれた事なんてないのに。

 それなのに詩織は初めての手作り弁当を……。


「一応言っとくけど明日からはわたしの分のお弁当は作らなくていいからね、今から私とあなたはただの幼馴染よ」


 そう言って詩織は僕の横をすっと通り過ぎた。


「ま、待って……」


 僕は振り返り彼女の方に右手を伸ばした。

 だが詩織は僕の声を無視して振り返りもしてくれない。


 遠ざかる詩織の後姿を見ながら僕は力無く崩れ落ちた。


 詩織との仲が終わったなんて認めたくない。

 だけど心の中でこれは現実なんだと訴えている自分がいて、認めたくない僕の目からはどうしようもなく涙が溢れ出した。


「ううっ……えくっ……なんで……」


 この日__10年続いた僕の初恋が終わりを告げた。

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