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革命

「この共産主義者め!!」

それが、わたくしの聞いた最後の言葉だった。


誰しもが持っているテレビ。ラジオ。スマホ。

ニュースやバラエティーに富んだそれを見ていると、時に、どこかの経営者か成功者がまるで、それを見ている安月給な労働者を見下すように、ヘリだのボートだの高級車だの、貯金はいくらあるだのを自慢している。


司会のコメンテーターやコメディアンも、へ~すごいですね~なんて相槌をうっているが、彼らも同じような生活をしているくせに、まるで金を入れれば動くブリキ人形のようにケタケタと笑い始めて。


仕事疲れで疲れているなか、4000年以上続く人間の世界が完全に金に支配された象徴でもあるかのようなその番組を見せられると、腸が煮えくり返る思いがした。まるで労働者に、お前らは負け組だよ。なんて暗に伝えて来ている気がしてならない。


普通の労働者なら、そんな億万長者の憂さ晴らしに、ハイハイすごいですねーっと言って終わらせられるだろうが、私は悔しくてたまらなかった。わたくしもその一人だったからだ。


共産主義を学んだのは、それだけの理由。はっきり言ってしまえば嫉妬や興味からが始まりだったが、金や身分を吹き飛ばしたどこまでも平等な世界。資本主義とは違う思想に私はのめり込んでいった。


資本家が利益を独占している。政府は着服と汚職でまみれている。そう叫ぶ私は、この時代のヒーローになれた気分だった。


おかげで今さっき、誰かに刺された。路上に倒れ、視界も暗くなっていく。

どこかの淑女の悲鳴が聞こえる。


私の人生は、もう終わりだ。

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