表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/185

4-4、隔離部屋と地竜の巣


 セダン王との謁見で倒れた私は、アマミクに抱えられて、寝台のある部屋に移動した。


 ヨシナという年配の女性に案内された部屋はお姫様の部屋らしい。その部屋には天蓋つきの大きな寝台があった。私はひとまずそこに寝かされた。

 アマミクが私のバッグから水を出して飲ませてくれる。私は水を一口のんで息を吐いた。


「コウ、大丈夫?」


 ミクは私の隣に座って、心配そうに私を見ていた。砂漠の旅路から何度も倒れて申し訳ない。


「ごめんね、たくさんの人の前で緊張しちゃった」

「分かるよ。人いっぱいいたもんね」


 ミクは私の露出した額に触れて、熱がないか確認し、無かったので頭を撫でる。


「私はアスラの王の再生みたいだけど、コウはコウでなんかの再生なのねぇ……」

「再生って、王じゃないから、結晶とかじゃないよ。ただおばーちゃんに似てるってだけだよ?」

「おばーちゃん?」

「ママのママだよ! 人間は赤ちゃんを生んで増えるんだよ!」

「……ああ、弟たちもそうだったわ。パパは奥さん沢山いたから、弟もたくさんいたわ」


 ……小鬼は一夫多妻のようだ。


 私は首を振って話を戻す。


「だからね、ミクと昔の三の姫は殆ど同じ人なのに比べて、私はほぼ別人なの。遺伝子っていう体の設計図がすこし似ているだけだよ」

「なにそれ、ぜーんぜんわかんない」


 アマミクはケラケラ笑う。そうしてふたりでくつろいでいる間に、扉の外で話声がした。


「一の王、ここは王女の部屋ですよ」

「単に約束したから持ってきただけだよ」

「じゃあ私から手渡します……って、コラ!」


 口論の途中に突如扉が開いた。ここに案内してくれた中年女性を押し退けて、アマツチが部屋に入ってきた。


「さっさと扉閉めないと地竜にさわるよ」

「もー、王に言いつけますからね!」


 ヨシナは頬を膨らませて怒っていたが、アマツチがヨシナの肩をポンと叩いた。すると怒っていたヨシナがしょうがないなーと、苦笑する。どうやらヨシナさんは、アマツチに甘いみたいだ。


 アマツチこと一の王は、部屋に入ると、朗らかな笑顔を見せた。


「おチビちゃん、具合は治った?」

「はい、治りました」


 私がご心配をかけて申し訳ないと頭を下げると、アマツチは手に持っていた籐の篭をアマミクに渡した。アマミクは躊躇なく篭を開けて、パァッと目を輝かせる。


「……ごはん!」

「来るとき約束したからね、厨房の余りを貰ってきた」

「食べていいの?」

「いいけど、寝所では食べないよ。こっちね」


 アマツチは部屋にあった椅子を引いて、ミクを座らせた。ヨシナが慣れた手つきで皿を並べ、手を洗う水を汲んだり、お茶をいれてくれる。

 ヨシナはハムのような塊を薄く切り分け、皿に置く。それを見たアマツチはヨシナをどかして、肉を豪快に切り分けた。


「ヨシナ、この人根っからの肉食だから、でかく切り分けて」

「ハイハイ、しかしもっとマシなもんあっただろうに、肉だけかい」


 アマツチが一口大のブロックに切った肉の塊を、ミクはぺろりと平らげた。


「あらま! よく食べられるね!」

「お肉すき!」


 ミクは満面の笑顔で、切って貰ったお肉をパクついていた。大きなお肉の塊が、見るまに消えていく。

 ミクの食べっぷりを驚いて見ていると、アマツチと目が合った。アマツチは肩を上げて、おどけるようなしぐさを見せた。


「君は食べなくていいのかい? 全部無くなっちゃうよ?」

「大丈夫です、火竜の巣で作ったものがまだあるし、今はそんなにお腹空いてないです」

「どれどれ」


 太めの中年女性が寝台に来て、私の隣に座った。ヨシナはキョトンとする私を無視して、腕やお腹を触る。


「よっぽど食べ物が無いところで育ったんだね、腹が小さくなってんだろ? 成長が遅いのはそのせいだよ、消化のいいものを持ってくるから待ってな」


 ヨシナはそういって、篭を持って出ていった。ミクはお肉を咀嚼しながら言う。


「そうそう、コウってガリガリなのよ。あんま食べないの」

「ええっ、食べてるよ? ミクにも沢山ごはん作ったのに!」


 大食漢のアマミクと比べたら少ないかもしれないが、このところちゃんとご飯を食べている。

 まあ食べるって言っても、ここに来たばかりの頃は焼いただけのお肉とか、焦げたパンモドキとかだったけれど、量は食べているぞ。


 私が最近食べたものを思い出していると、またアマツチと目が合った。どうやらずっと見られているらしい。

 ミクはお手拭きをアマツチに向かって投げる。


「アンタ見すぎでしょ、チビでも女の子なのよ、失礼じゃない!」

「うーん、何か見たことある気がして気になるんだよ、王はあの子が王の妹に似てるって言ったけど、俺はエレノア姫に会ったこと無いからそーじゃないと思うんだよなー」


 ミクは木製の皿をアマツチに投げ当てた。


「地竜が緑の魔女って言ってたじゃん、私ここに来てさすがに思い出したわ。魔女って黒い真っ直ぐな髪の毛を引きずってるキモ女でしょ? あの女がコウのママのママなんだってさ。本人じゃないみたいよ?」

「……いや、俺の記憶にはいないよ。魔女といわれてもさっぱりだ」

「へぇ、薄情だこと……」


 アマツチはよそ見していても、投げられたものを全部キャッチして、机に並べていた。

 ミクはアマツチをチラリと見る。


「メグの事は覚えてるの?」

「まーね、かわいかったね、いつもニコニコして、褒め上手で。些細な事に何でも褒めてくれたよな……」


 上の空で言うアマツチに、ミクは持っていた箸を投げた。アマツチはチョキの手で箸を受けとる。

 ミクは食卓に手を合わせて祈った後で、寝台に向かい走って、私を押し倒した。


「……ふぎゃ!」


 ミクはミクなりに配慮して、私を潰さないように力加減をしたが、それでも苦しかった。

 アマミクは私に抱きついて、じっと目を閉じている。


「ミク? どうしたの?」

「……食べたから、寝る」

「赤ちゃんか!」


 いうないなや、ミクは寝息をたてはじめた。私はミクの下から這い出し、ミクにお布団をかけた。そして机に散らかった皿や箸を片付ける。


「……あの、地竜は無事ですか?」


 私が茶を飲んでいるアマツチに聞くと、アマツチは「大丈夫だよ!」と笑った。


「君が西の学舎に行くのに、二の王に許可を取るからまってね、あとじーさんがなんか言いたげだったから、後で聞いたげて」

「……えっ、私に会うとオージンさん、また具合悪くなっちゃいませんか?」

「なんか対策を考えるって言ってた。だからそれも待ってね」

「はい、ありがとうございます」


 私がお皿を片付けて、机を拭いている間、アマツチはじっと私を見ていた。


「……君は」

「はい?」


 中学時代に人から隠れるように生きてきた私には、視線がとても気になる。頭に何かくっついているんだろうか?

 私は自分の髪を触って、衣服も見るが特におかしいところは見つけられなかった。


「君はこの世界のことを良く知っているようだけど、俺については何か知ってる?」

「一の王ですか? えっと、サーによって、一番最初に造られた生命です。頭に太陽の冠を乗せて、瞳は青空を連想するような色です。No.1の守護竜、地の竜とセットで、東の国をおさめるようにサーが命じました」

「それは、子ども用の本に書いてあるね、他には?」


 私はうーんと悩んだ。


「名前は異世界の言葉で、天地です。空と大地。あなたが死んだことも、セダンが東に移動したのもここに来てはじめて知りました」


 アマツチは机に肘をついて、私を見ていた。


「個人的な事は知らないみたいだね」

「……す、スミマセン、私、人間にあまり興味が持てなくて」

「じゃあ何に興味があるの?」

「……りゅ、りゅう」

「そうなんだ」

「だって、キレイだから……」


 恥ずかしがる私を見て、アマツチはクスクス笑った。


「じゃあやっぱ、個人的な付き合いは無いんだな。他の王たちは?」

「メグミクとは話をしたことがあります。フレイは水竜と親しかったので、たまに聖地にいらしてました」

「へぇ……何か話したの?」

「フレイは王達からは見えませんでしたから、水竜越しに話をしました。四の王はファリナの寒さと、宝具を持っていないことを気にしていました」

「あれ? 魔女って俺たちから見えないの?」

「サーが目視出来ないのと同じく、フレイも竜の目にしか映らなかったようですよ」


 その話を聞くと、アマツチは頭を抱えた。


「じゃあ俺らが知り合いの筈はないじゃん、魔女はなんでここで死んだんだろうね?」

「……さあ? 私には分かりません」


 この人の事でひとつ覚えていることはある。それは、右腕の無いフレイを、一の王と地竜が迎えに来て、処刑場まで連れていかれた事だ。

 フレイも末期は体があって、人から視認されていた。でも最後の日以外で一の王とフレイは関わりが無さそうだから、それは言わなくてもいいかな? 一の王はフレイの顔さえ見なかったもんね、知らない人だ。


「ありがとう、ひとまず初対面ってことが分かったよ。またじいさんの続報があれば伝えに来る」


 アマツチが席を立つと、入れ違いにヨシナがお粥を手に戻ってきた。


「おや一の王はもういいのかい?」

「……うん、ちょっと考え事。外に出てくるから王にテキトーに言っといて」

「女の子に振られて逃げたと伝えますね」

「……ハイハイ、それでいいよ」


 アマツチは素早く退出し、廊下を駆けて行く足音が聞こえた。


 私がお粥を食べている間に、ヨシナはぐいっと腕まくりをした。ヨシナはタンスを勢いよく開け、中から服を出す。


「その服じゃ動きにくいだろう、このタンスなら好きに使っていいからね」


 ……姫の部屋のものって、姫の私物なんじゃ。


 椅子にかけられた服を見ると、質素で動きやすそうだった。今着ている袴っぽいのは特別な服らしい。

 私は着方を教えて貰って、Tシャツの上に裾の膨らんだズボンと無地の短い着物を羽織る。その上から緑の腰布をヨシナが巻いてくれた。


「ありがとうございます、これ動きやすいです」

「ウンウン、姫さまも似たような事を言ってたよ」

「えっ? これもお姫様の服ですか?」

「そうだよ、この国には子どもの服はあまりないからね。借りたって怒られないよ」


 ……そうか、長年子どもが生まれてないと、小さな服は作らないのか。かといって、着物の街に異世界の服じゃ目立つだろうし。エレノア姫、お借りします。


 私は襟をきちっと合わせて、汚さないように借りようと決心した。




◇◇


 アマツチは人目を避けて城の地下に下りる。

 床に木の板が張られている地上とは違って、地下は岩で出来た牢屋があり、さらに何層も階段を下りると広い洞窟に出る。そこには地竜の巣と、転移ゲートがあった。


「……爺さーん」


 アマツチは岩でできた階段を下りる。ゴツゴツとした岩で囲まれた狭い空間に、岩竜がまさに岩になって寝ていた。アマツチは拳で岩をコンコンと叩く。


『……なんじゃ、一の王か』

「おおー、心話だ。爺さんが竜のカッコしてるの久々にみたなー」

『今、樹液を凝固させとるから、この姿の方が便利なんじゃよ』


 地竜は人の形の時は口から言葉を発するが、竜のときは心に直接語りかける心話を使う。アマツチは心話は頭がくすぐったい気がして苦手だった。くすぐったさに顔が緩む。


『……にやけているな。世界の危機だというのにけしからん』

「爺さん機嫌悪いの? あの子のせい?」


 地竜はむすっとして黙るのをいいことに、アマツチは独り語り始めた。


「いやー、俺、子どもって初めて見たけど、やわらかいし、なんかいー匂いするし、何でも驚くし、なんかかわいーよね」


 目を閉じた地竜は岩のように微動だにしなかった。アマツチは地竜にかまわず話続けた。


「森で初めて会ったときは、きつーい花みたいな匂いだったんだけど、さっきあったときはミルクみたいな匂いがした。子どもっていいね。柔らかいし、俺が小さな頃城のみんなに可愛がられていたのも納得したよ」


 浮かれる一の王を、地竜は黙って見ていたが、地鳴りのような深いため息をついた。


『お主は本当に学習せんな……お主、三百年前もアレにうつつを抜かし、北の王を泣かせただろう、忘れたか?』

「えっ? あの子は俺の事を知らないって言ったよ? 魔女は祖母の事らしいし」

『そうじゃ。樹木は再生を否定した。だがそっくりなのだ。見かけも性質も。だから杞憂しておる』

「なら別人確定じゃん、人間は親子だって別の人格だろ? あの子どもは危険じゃないっしょ!」


 呑気に語るアマツチに、岩竜は地響きのような轟音を立てて威嚇した。


『サーが何と言えど、アレは森の魔女だ! あやつは三百年前に我が都を森で覆い滅ぼした。エレノア姫はアレの縮小版だったのにあんな迷惑な存在だった! エレノア姫の親玉だぞ、ラスボス的存在だぞ』

「いやいや、あんな弱い人間見たこと無いよ」


 地竜の剣幕も届かず、アマツチはヘラヘラ笑う。


「あんな非力で、生活魔法さえも使えなくて、三の姫におもちゃにされている子どもがラスボスとか無い無い」


 にやけるアマツチに、岩竜はガァッと、炎まじりの息を吐いた。


『非力なのがアヤツの特性だ。緑の魔女も全く魔法を使っておらなんだ。いまだにアレがどうやってアスラを破壊出来たのかは分からん』

「セダンは何で森になったんだっけ?」

『覚えとらんのか……』


 地竜はギロリとアマツチを睨んだ。


『緑の魔女は我らと同じ守護竜の結晶で作られていた。なので処刑には完全に抹消する必要があった。抹消はお前にしかできんかった。なのにお主がしくじったのだ。どうせ直前にためらって、情けでもかけたんだろ。お主もあの女も慈悲魔だからな』

「……処刑って」


 アマツチは寝耳に水で、意味が分からずニヘラと笑う。


「セダンが森になったのは魔女だけでなく俺のせいなんだな。その辺の事は思い出していないんだけど、何か分かったら知らせるよ」

『お前が阿呆なのも、しでかした事も全部知っとるわ! 蒸し返さんでくれ!』


 地竜ががなると地面が揺れる。


「じいさん、上の皆驚くから、もっと静かに……」

『……かぁぁ! コヤツになだめられるとは世も末よ』


 地竜はモゾモゾ動いて、地面に潜って行く。アマツチはしゃがんで、地面に顔を伏せて目を閉じている地竜をのぞき込んだ。


「俺は何をするべき? したらいけないことはある?」

『二度とあの女を破壊するな』

「……俺が? あの子どもを? なんで?」


 アマツチは答えに困ってニヘラと笑った。


『守れ。あの女の望む場所に連れていけ。そして絶対に殺すな。お前は手を出しても、殺してもいかん。今度殺したら旧王都どころじゃないぞ、世界が滅ぶぞ』

「……まじめに?」


 唖然とするアマツチに、地竜はゆっくり頷いた。


『世界を破壊する威力のある凶悪な兵器が、最も弱い、壊れやすい器にはいっているのだ。ゆめゆめも手を出すなよ。守り抜けよ』


 地竜はぶつぶつと独り言を呟き、一度立ち上がり、寝床を整えてまた座った。


『……しばらく起こすな。作業に没頭させい』

「はいはい」


 アマツチは地下への扉を閉めた。


『あれが、世界を滅ぼす兵器?』


 アマツチは小さな子どもと兵器が結び付かなくて、首を傾げた。




◇◇

 

 その後アマツチは兵に発見されて会議室に連行された。会議室では、セダン王とその兄たちが揃って話をしていた。


「……緑の魔女と聞いた時は肝が冷えたが、あの子どもは無害そうだったな」

「そうですね、魔法を使う様子も無かったので、魔女と呼ぶのは適切では無いでしょう」

「地竜がいなかったら、見過ごしていたな、普通の子どもにしかみえなかった」


 アマツチは会議室の隅に立って話を聞いていた。予定されていた議題は放置され、さっきの子どもとアマミクの話をしている。


「今後あの娘をどうするつもりだ? ここに置いておくのか?」


 兄に聞かれて、セダン王はうーんと唸る。


「彼女の願い通り、二の王に預けるのが良いかと思います。二の王はこの世界を見通していますから、良い道を示してくれるでしょう」


 王の隣に座った髭の濃い筋肉質の男がため息をつく。


「……二の王は正直子どもにしか思えないんだよ、さっきの娘もそうだがな」

「兄上は見かけに左右されすぎです。二の王はああ見えてもオージン並みにずっと生きておられますからね」


 王の兄である将軍は、理解不能だと、つがれたお茶をずずっとすすった。


「彼女自体は問題ありませんが、感覚を守護竜に伝播されるのは困りますね、下手に動かせない」

「エレノアがつけていた封じる石はもう無いのか? あれでいいだろう」

「そうですね、妹のものは残っておりませんが、地竜が作れるかと思います」

「地竜も巣から出せないんじゃ役にたたん、さっさと作らせろ」

「……ハイハイ」


 王は優先順位の高いものを木簡に書き出していく。ひととおり書き終わると、アマツチに向かって手招きした。


「……何?」


 寄ってきたアマツチに、王は微笑む。


「彼女の事は一の王に任せたよ。とても大切な人なので、けして傷つけないように何者からも守りなさい」

「……俺が?」


 将軍は髭を触ってニヤリと笑う。


「お前しか暇なヤツがいないからな。適任だろう」

「無職で役無しだしな」

「見回りしかしておらんし」

「……ぐぅ」


 王の兄弟からの追撃にアマツチは唸った。

 仕事が無いのは平和でいいじゃないかとアマツチは思うが、この一家には口を出す気にはならない。集団で責められると反論しにくい。


 アスラに面している、セダンの南に領地を持つ兄が言う。


「三の姫はもう国を持たんのかな? アスラから魔物が入ってきて困っているのだが」

「建国する気があるから、あの子どもを守っているのでは? あの子どもが再生の鍵なのだろう?」

「鍵は女神だと聞いていたが、あれは森の魔女じゃないのか?」


 憶測で好き勝手言っている中年たちを見て、アマツチは苦笑した。


 ……食べることしか考えていない三の姫と、人探しと顔に書いてある子どもが、世界を劇的に変える事なんて無いんじゃないかな。


 客人のふたりの話が終わって、政治の話題になると、アマツチは興味を失い席を立った。


「……本当に一の王は政治に関わらんな」


 呆れて言う長兄に、アマツチはアハハと笑って誤魔化す。


「俺は細かいこととか調整出来ないんで、広場の飾り物だと思ってくださいね!」


 残された者はいつものことだとアマツチを解放した。アマツチはさっさと退出する。

 会議室から出ていくアマツチに、王が声をかけた。


「アマツチは、三の姫が女性だと言うことを忘れないように。問題あれば宝具を取り上げて地下に閉じ込めますからね。ヨシナの言うことをよく聞いて行動してください」

「はいはーい」


 立ち止まっていたアマツチは苦笑して会議室を出ていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ