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横浜山手の宝石魔術師  作者: 桜居 かのん
第三章 君を守る檻とルビー
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「ここはきちんと怒って良いんです。


部屋を貸したのも、食事をきちんと取らせるのも、帰り一人で帰ってこないようにさせているのも全て僕の我が侭なんですから」



どこが我が侭なのだろう。


朱音に取ってみれば冬真は救世主に近いのに。



「いえ、私の方が我が侭になって」



「僕は」



朱音が冬真に向きながら必死に言おうとしたのを冬真が止める。



「僕は、ただ自分が後悔したくないために自分の我が侭に朱音さんを巻き込んでしまっただけです。


健康のために食事はきちんと取って欲しいですが、お友達との付き合いもあるでしょうし無理する必要はありません。


それと帰りの連絡も無しにしましょう。


朱音さんも彼氏の家に泊まりたいときがあるかもしれないですし、いちいち僕に連絡するのも恥ずかしいでしょうから。


帰るときには注意して帰ってきてくれればそれで構いません」



ゆっくりと冬真が話すその内容が、今度は急に不安を与える。


唐突に自由にしていい、となると喜ぶべきなのかもしれないが、帰宅の件は冬真の個人的な後悔があるからにせよ、冬真は自分の我が侭などと言っても結局は全て朱音のことを思ってだ。


自由を奪う檻だと思っていた物が、実は自分を守るために作られた物だと知ってその檻が外れたら、自由のために踏み出すよりも怖さや申し訳なさが襲ってきて、冬真から突き放されてしまった、呆れられてしまったのではないだろうかと思えてしまう。


朱音が思わず不安げに冬真を見れば、冬真は申し訳ないのか視線を外した。


とっさに冬真の上着の袖を引っ張ってしまい冬真が朱音を見れば、朱音は慌てて引っ張った手を引っ込め、再度俯いた。



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