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横浜山手の宝石魔術師  作者: 桜居 かのん
第三章 君を守る檻とルビー
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「少し、リビングに行きませんか?


きちんと朱音さんと話しがしたいんです」



朱音は俯いたままだったが、少しして頷いた。



リビングに来ればすぐに何か持ってくるアレクは入ってこない。


ソファーで冬真と朱音は少し離れて並んで座っているが、朱音は下を向いたままで冬真はそんな朱音に声をかけた。



「声を出さなくても良いです、可能なら僕の質問に答えてはもらえませんか」



冬真の声は静かで怒りを含んでいる物でも無い。


それがわかっても朱音は俯いたまま、どうしていいのかわからず黙っていた。



「さっきの彼とあの後デートの予定だったのですか?」



再度同じことを聞いてきた冬真に、朱音は首を横に振る。



「では、僕があそこまで迎えに来たのが嫌でしたか?」



朱音は俯いたまま、膝に置いた手がきゅっと握られるのを冬真は気づいた。


朱音は何も答えず、冬真は質問することも何も言うことも無く沈黙が続く。


カチカチとリビングにある置き時計の音が妙に頭に響くようで、朱音はこの沈黙が怖くて仕方なかった。



「こんな勝手な質問をするのではなく、僕が謝るのが先でしたね」



冬真はそう言って朱音の方に身体を向けると、



「朱音さんの自由を縛ってしまい、申し訳ありませんでした」



そう言って頭を下げた。


俯いていた朱音はその行動に驚き思わず顔を上げる。



「い、いえ、私が」



「朱音さんが謝る必要はありません。


見苦しいのですがそんなことをしてしまった理由を、聞いてはもらえないでしょうか」



いつもの優しい笑みは消え、冬真は朱音の顔を見た後、少し間を置いて口を開く。




「昔、僕の友人が帰宅途中に殺されました、この日本で」



突然の冬真からの言葉に朱音は目を見開いた。



「何年か前になりますが、殺された彼女はイギリス人の親戚で、僕がハーフということ、日本にいたこともあったので、よく日本の素晴らしさを話したりしました。


彼女は元々日本文化やアニメなどが大好きで、大学生の時、日本に短期留学をすることになったんです。


その時僕は既にイギリスで仕事をしていたので、時々連絡を取るくらいでしたが」



ただ淡々と話すのをみて、朱音は何か怖い、と感じた。




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