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横浜山手の宝石魔術師  作者: 桜居 かのん
第三章 君を守る檻とルビー
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13




「朱音さん帰りましょう」



「あの」



戸惑っている朱音に冬真は笑顔を向ける。



「冬真さん、お仕事大丈夫ですか?わざわざ迎えに来ていただかなくても」



「アレクが駐車場で待ってますよ」



朱音の言葉に違う返事をした冬真に、朱音は迎えに来てくれて嬉しいという気持ちよりも、飲み会の前に抱いていた複雑な感情が顔を出す。


黙って冬真の後ろに続き、ビルの地下にある駐車場に着くと人気は無い。


コンクリートの冷たい景色と少し薄暗い中を歩き、車を見つけるとすぐにアレクが降りてきて後部座席のドアを開け、朱音に先に入るように冬真に促されると、朱音は声を出さず頷いて乗り込みその隣に冬真が座る。


結局洋館に到着しても一切何も話すことは無く、洋館に入ると朱音は冬真とは目を合わせないように、



「ありがとうございした。おやすみなさい」



そう言って部屋のノブに手をかけた。



「何か、僕に言いたいことがあるんじゃないですか?」



背後から冬真がそう聞いても、朱音は首を振るだけ。



「迎えに行ったのは余計なお世話でしたか?


もしかしてデートの予定を壊してしまったのなら謝ります」



そんなことはないけれど何かが朱音の中から湧き出して、声を発してしまえば、出てくる言葉は間違いなく冬真を責めてしまう。


視線を合わせず何も言わないままドアを開けようとしたら、そのドアに手を伸ばされすぐ側に冬真がいた。



「朱音さん、僕は魔術師ですが簡単に人の心は読めません。


話してくれないと朱音さんにそんな顔をさせてしまった理由がわからないんです」



「読むことは、出来るんですか」



「えぇ、可能ではあります」



「ならそうして下さい」



投げやり気味に朱音は言ってしまった。


束縛が嫌だ、やめてほしい、でも、という色々な感情が混ざり合って解けない。


いっそのこと魔術でも何でも良いから、私にもわからないこの感情が冬真さんに伝われば良いのに。


段々とこの洋館を出て行くことになるのかな、という気持ちが増えてきて、朱音は俯いた。



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