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横浜山手の宝石魔術師  作者: 桜居 かのん
第三章 君を守る檻とルビー
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11



朱音も鞄から財布を出そうとしたらスマートフォンに着信のランプ。


開けば、冬真から迎えに行きますとだけ書かれていた。


迎えに行きますとは、連絡をすれば行きますということだろうか。


朱音はとりあえず今から店を出ることだけ打つと送信し、誘った会社の女性に先に帰ると告げようとしたら、



「じゃぁ俺たちお先に」



気が付けば隣にさっきの男がいて皆に声をかけたので、一斉に皆が男と朱音を見た。



「うっそ、早い!」



「さすが!」



周囲から冷やかしの声が上がるが男は涼しい顔で朱音を出口に誘い、はやし立てられた理由を朱音は気が付いていない。



「この後希望ある?」



店を出た途端男に聞かれ、朱音は首をかしげた。



「帰るルートですか?」



朱音の言葉に男は目を丸くすると、男は笑みを浮かべて朱音の肩に手を伸ばした。



「ねぇ、夜景でも見ていかない?」



朱音はそこでやっと、自分が男と早めに出ると言ったのが誤解を生んだことに気が付いた。



「すみません、私本当に早く帰ろうと思って」



「なんで?まだ九時過ぎだよ?」



「下宿していて、その」



「今時下宿なんてあるんだね!送ってくから少し付き合ってよ」



男の朱音の肩に置かれた手にぐっと力が入り、朱音は男に引き寄せられぐらりとよろけて男に抱きしめられるような形になってしまった。


すみませんと言って慌てて離れようとする朱音を、男は楽しそうにして離さない。


ここは飲食店の建ち並ぶビルの中と言うこともあり、朱音たちがそんなことをしていても誰も気にとめたりはしてないようで朱音は恥ずかしくて逃げようともぞもぞ動くのに、それでも男の手は緩まないので朱音はさすがにやめて欲しいと言おうとした。



「朱音さん」



聞き慣れた柔らかなその声に首を動かせば、冬真がきっちりとしたスーツ姿でこちらに歩いてくるのに気が付き、朱音は心からほっとした。



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