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横浜山手の宝石魔術師  作者: 桜居 かのん
第三章 君を守る檻とルビー
82/199

7



間違いなく何かこいつはまずいことを犯そうとしているのではないかと、健人はずっと気がかりだった。


急に真面目な表情になった健人に、冬真は気がつく。



「誕生日会はここでやればいい。


お前と朱音の二人きりは却下だ」



「何故?」



「それこそ俺が聞きたい。


『あの出来事』から俺が知る限りわかりやすく女と付き合わなかったくせに、何故朱音には好意を持たせかねないようなことをする?」



冬真は健人の表情を見て、ふっと笑った。



「彼女は色々と抱え込んでいるようなので、少しは楽しい思い出を作って欲しいだけです。


それに、彼女とは少々縁がありまして」



「それは、朱音の生年月日に関係するのか?」



健人は冬真の目を真っ直ぐに見て尋ねる。



「内緒です」



笑みを浮かべてそう答えた冬真を探るように健人は見たが、冬真は全てわかっているかのように笑みを浮かべたままだ。



「・・・・・・あいつを泣かせるようなことするなよ。


俺は、お前も、朱音も気に入っているんだ」



ため息をつきながら言った健人に、冬真は曖昧に笑う。


健人が『彼女』の出来事を知っていて、自分や朱音を気遣ってくれていることは素直にありがたいことだ。


冬真から見る健人は、とても真っ直ぐで太陽に守られているような存在。


影に闇に存在し、心を簡単には見せることの無い魔術師の自分からすれば、時折健人は眩しすぎて、その熱に自分が燃えてしまうのではと冬真が思っていることなど健人はきっと気が付いてはいない。



「まぁ僕は朱音さんに全裸を見られたり叫ばせたことは無いですけど」



「もう全裸でうろついてないだろ!」



健人はタブレットを持ち立ち上がると、嫌そうな声を上げた。



「誕生日プレゼントは渡すんですか?」



リビングから出て行こうとした健人に声をかけると、健人はニヤリ、と笑う。



「さーな」



ドアが閉まり、階段を上がる音が聞こえる。


あの足音は割と機嫌が良いときの音だ。



「何かの締め切りは踏み倒しそうですね」



くすくすと冬真は笑い、また本に視線を落とした。




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