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「何故そんなことを?」
「単にお前さんの運命の再会に興味があっただけさ」
朱音とロンドンで出会い、そして再会したことなど誰にも話してはいない。
だが自分と関わった朱音が容易に調べられていることで、『彼女』と結びつけられた可能性がある。
冬真は『目的』をより周囲に悟らせないようにすべきだと再認識しながら、美しい顔で微笑む。
「・・・・・・どこの情報から仕入れたのかはしりませんが」
女子高生は、さてあの娘の何を話すのだろうと前のめりで聞こうとする。
「その格好、90年代半ば以降に流行った『ガングロ』というもので、既に絶滅していたと思っていましたから、それで渋谷に行けば天然記念物で捕獲されますよ?」
笑顔で冬真がそういうとドアがバタンと重々しく閉まり、女子高生はぽかんとそのドアを見ていた。
「・・・・・・チョベリバ」
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渋谷駅の地下で直結しているビルにあるとあるレストラン。
ちょっとしたランチコースの最後に出てきたデザートケーキの上には「HappyBirthday AKANE」と描かれてあり、そのケーキには三本の花火が瞬いている。
サプライズに驚いた朱音は友人達の「誕生日おめでとう!」という声に、ありがとうと満遍の笑みで答えた。
土曜日の今日短大の友人達三人と会うことになり、久しぶりの再会で皆近況報告に花を咲かせていた。
「そう言えば朱音って引っ越したんだよね?」
「うん」
「大家さんと同居って下宿みたいな感じなの?」
友人達が不思議そうに聞いてきて思わず朱音は頬張っていたショートケーキがむせて咳き込む。
メールでは、急遽家を探すことになってそれを不憫に思った人が一部屋貸してくれることになったと友人達には伝えていた。