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横浜山手の宝石魔術師  作者: 桜居 かのん
第二章 パライバトルマリンと人造石の輝き
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斜め向かいに座る朱音が見たくてそわそわしていると、理恵子は笑って朱音の前に石の並んだトレーを差し出し、朱音は嬉しそうな顔でお礼を言った。



「そうね、キュービック・ジルコニアは異様に輝いてる。


並べてみるとキュービック・ジルコニアの方が安っぽく見えるわ」



にこりと冬真はすると、今度はプラスチックで上が透明な小さな箱から一粒取って、キュービック・ジルコニアの隣に置いた。



「もう箱の時点からこれは本物のダイヤだってわかるわよ」



苦笑いで答える理恵子に、せっかくなので比べてみて下さい、と冬真が言う。


見ていて輝きの差は歴然だった。


輝く、という点ではキュービック・ジルコニアは一番なのだが他と比べれば安っぽい光。


それに比べ、モアッサナイトはダイヤモンドに近いというのがわかり、おそらくシャッフルされればわからないだろう。



「冬真さんはモアッサナイトとダイヤモンド、どちらかわかりますか?」



朱音の質問に、冬真は微笑む。



「これくらい差があれば何とかわかりますが、より上質な物なら難しいですね。


それだけプロ泣かせの人造石です。


今は機械で簡単に判別できますが、初期は判別がしにくかったため、本物だと思って購入し、今もそう思って大切にしている方々はいるでしょう」



理恵子はじっと並んだ透明な石を見て笑った。



「宝石のプロからすれば偽物でも、本物のダイヤモンドと思った人には永遠にそれはダイヤモンドよね」



段々と馬鹿馬鹿しい、そんな気持ちに理恵子はなっていた。


最初はただあの女のしていた宝石に役を奪われたことが憎くて、あの女に一泡吹かせるために素晴らしくて自慢できる宝石が欲しかったのに、目の前の美しい男は、恐ろしく高級な宝石を紹介したかと思えば、本物にそっくりの偽物を提案したりする。



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