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横浜山手の宝石魔術師  作者: 桜居 かのん
第二章 パライバトルマリンと人造石の輝き
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*********





理恵子からの電話はあのイベントの夜には冬真の元にかかってきて、冬真はわざと日にちを空けようとしたがしつこく日程を早めようとする理恵子をなんとか説得し、翌週金曜日の夜に洋館の仕事部屋で会うことになったのだが、今回は付き合わなくて良いという冬真に、朱音は自ら同席したいと名乗り出た。


最初に同席して欲しいと頼んだのは冬真であり、朱音がその後について気になるのは仕方がないとOKを出した。


洋館に来た理恵子はつい先日会ったときより痩せているように見え、それも前回のように切羽詰まった表情と言うより疲れ切っているようだ。


理恵子が隣の席に置いたバッグは二つあり、一つは大きなトートバッグで、大きな本やファイルなどが見える。


おそらく舞台の稽古かレッスン後かにそのままここに来たのだろう。


冬真は思ったよりも理恵子が深刻な状況であることを理解し、アレクに紅茶では無い飲み物を用意させた。



「ホットチョコレートになります」



アレクは三人の前に、白地でカップの縁は柔らかく波打ち、側面には大きくハーブが描かれたマグカップとクッキーを置いて出て行った。



「まずは温かいうちに飲みましょう」



「私はあまり・・・・・・」



「そのホットチョコレートには、隠し味にハーブを入れてあります。


どれも喉に良い物ですし、お仕事の後でしょう?


声楽は体力を使います。栄養をきちんと取るのもプロの仕事ですよ」



優しく冬真が言うと、理恵子は戸惑った表情をしたあと、カップを取りゆっくりと口をつける。



「美味しい」



少し表情を緩ませそう言ってまた飲んでいる理恵子を見て、冬真と朱音もホットチョコレートに口をつけた。



「気持ちは変わりませんか?」



しばらくして冬真が尋ねると、理恵子は少し間を置いた後えぇ、と返事をする。



「例の女性がしていた宝石の種類はさすがに集合写真ではわかりません」



「そうよね。宝石は確かサファイアだと彼女は言っていたわ」



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