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横浜山手の宝石魔術師  作者: 桜居 かのん
第二章 パライバトルマリンと人造石の輝き
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「・・・・・・ただ、美しい宝石が欲しいだけで」



「どなたかが持つ宝石にでも、触発されましたか?」



理恵子ははっとした。


美しい宝石のようなグレーの瞳が自分の心の中を覗いている気がして背筋がぞっとする。


相談する相手を間違えた、そんなことを思ったが既に遅い。


相手は笑みを浮かべているが、その笑みがどこにも逃げ場が無いのだとあざ笑っているようにすら感じ、唇が震えそうになる。



「・・・・・・あの女の宝石が」



しばらく理恵子は俯いて黙っていたが、俯いたままやっと聞こえた声は小さく震えている。



「あの女がしていた宝石より、上の宝石が欲しいの!」



絞り出すように理恵子は顔を上げ声を出した。



「本当は私が主役で決定していたのに、次のあわせで突然あの女に主役が変わったのよ!


久しぶりの大きな舞台だったのに、演出家に理由を聞いても答えてくれない。


あの女が突然上手かったわけでも、私がその日調子が悪かったわけでも無い。


納得できずにしばらく経った頃、あの女が自慢げに仲間に話しているのを聞いてしまったの、その日していたペンダントが幸運を呼ぶ素晴らしい物だったのだと。


確かにあの日あの女は大きな宝石のついたネックレスをしていて、皆とても注目していた。


私も純粋に凄いと思ったわ。


でもたかが宝石でと思っていたけど、またしばらくして演出家達が話していたの、あの宝石がとても素晴らしくそれをしている彼女が主役のイメージに合うと思って選んだのだと」



最初は勢いよく話していた理恵子だったが、段々と力尽きるようにまた俯いてしまった。


ただ冬真は聞いているだけで、理恵子が話した後も何も言わない。


朱音はどうして良いのかわからずちらりと冬真を見れば、それに気が付いた冬真は心配させないように優しげな表情をして、朱音はほっとする。



「その宝石、見てみたいので写真をお持ちではありませんか?


例えば集合写真を撮ったとき彼女がしていたとか」



理恵子はそれを聞いてスマートフォンを出すと、画像を確認しているようだった。




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