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横浜山手の宝石魔術師  作者: 桜居 かのん
第二章 パライバトルマリンと人造石の輝き
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「期待を裏切って申し訳ないのですが、一般的な宝石のお話しです。


講演は申し込み制なんですが、いつもすぐに一杯になるとかで。


回数を増やして欲しいなど要望もあるのですが、本来あまりこういうのは遠慮したいので頻繁にと言う点はお断りしています」



「まぁ地域活性だの、ご近所からの圧力もあるからな」



サンルームにある一人がけ用の大きなソファーに座りながらビールを飲んでいた健人が話しに入る。



「仕方がありません。ご近所付き合いは大切ですし。


でも問題は講演内容なんですよね。


また去年と同じで良いからなんて言われても」



「去年と同じで良いって言われたんですか?」



「主催者側からそのように。


僕としてはただ聞いてるだけなんてつまらないだろうし、もっと皆さんで話すとかの方が良いと思うんですが」



ソファーに座り腕を組んで眉間にしわを寄せて悩む冬真を見て、朱音はそっと健人の側に行く。



「主催者側の意図ってやっぱり」



「さすがだな、目当ては講演内容じゃ無い、あいつそのものだよ」



こそっと健人に朱音が言うと、にやっと健人は答えた。



「あのー、純粋な疑問なんですが」



もっと小声になって健人の側で朱音が言うと、健人が耳を近づける。



「冬真さんのあれって、天然ですか?養殖ですか?」



真顔の朱音に思わず健人はぶはっと笑い、慌てて口を塞ぐ。


二人で冬真を見れば、何かの資料を読んでいるようで気が付いていないようだ。



「天然だよ。あいつは変なとこで抜けてるんだ。


いや、俺も見抜けないあれだ、イミテーション?とかかもしれないな」



「そういえばダイヤモンドみたいに綺麗なイミテーションとかありますよね」



「そうそう、もの凄くダイヤモンドに似てるやつが作れるようになったってあいつが言ってたけど、なんて名前だったっけな」



「『モアッサナイト』、ですよ」



顔を近づけこそこそ話していた健人と朱音が思わず同時に声の方を向く。


そこには離れたところで書類を読んでいたはずの冬真が笑顔でこちらを見ていた。



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