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横浜山手の宝石魔術師  作者: 桜居 かのん
第一章 ラブラドライトの紡ぐ出逢い
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40



こんな素晴らしい洋館を貸してお金取らないなんてどういうことなのだろう。


そんなに魔術師という仕事は収入が良いのだろうか、いや、そもそもお金持ちなのだろうか。



「・・・・・・やはり若い女性にはこういう部屋は合わないですね。


勝手を言ってしまい申し訳ありません」



返事をしない朱音が断り方に困っていると思った冬真は申し訳なさそうに話し、それを見た朱音はぎょっとして違います!と声を上げた。



「もの凄く素敵です!今のアパートの二倍くらい広さありますし!


ただ無料だなんて信じられなくて。


もしかして建物の掃除とか皆さんのご飯を作るとかが条件なんでしょうか?」



至極真面目に聞くと、いえいえ、と冬真は笑う。



「ご自分の部屋だけ掃除して頂ければ結構です」



「共有の場所や廊下とかは?」



「全てアレクが行います。庭の手入れも何もかも」



その返事を聞いて一瞬誰だろうと思ったが、あの黒い姿の執事が朱音の頭に浮かぶ。



「あの、アレクさんってもしかして」



「はい、何度も会っているあの彼です。アレク」



冬真に促されリビングに戻って座ると、冬真の声に合わせるようにドアがノックされ黒髪を後ろに束ねた男が入って来て、冬真の座っているソファーの斜め後ろに立った。



「彼の名前はアレキサンダー。


僕たちはアレクと呼んでますので朱音さんもそう呼んでやって下さい」



冬真は笑顔でそう言うが、斜め後ろの黒い男は無表情のまま朱音を見下ろしている。


やはり好意的に思われてはいないようで、朱音は凹んでいる気持ちを悟らせないよう小さく、はい、と答えた。



「では、いつからこちらに引っ越されますか?」



「本当に良いんでしょうか」



とんとん拍子に話が進むことに急に朱音は焦ってきたが、ふと一部の冷静な脳が語りかける。


うまい話には裏がある、タダほど高い物は無い。


彼がそんな話をし出したのは、魔術師と知ってしまった自分を監視するためでは無いのか、と。


それに気が付いた朱音は突然ソファーから立ち上がり、紅茶を飲もうとしていた冬真がカップを持ったまま驚いて朱音を見上げた。




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