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横浜山手の宝石魔術師  作者: 桜居 かのん
第一章 ラブラドライトの紡ぐ出逢い
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*********





翌日。


朱音は化粧も落とさずシャワーも入らず、それこそ着替えもせずにベッドで爆睡し、目を覚ますとそろそろ十時という時間に一瞬時空が歪められたのでは無いかと思うほど驚いて慌てて風呂場に駆け込んだ。


十一時に車をよこすという話しだったが、十五分前にアパートの窓から下を覗けば既に車は止まっていて、余計に慌てながら準備して車に走り、そして洋館に着くと、昨夜おかしなことが起きたリビングに通された。


ローテーブルには品の良いカップに紅茶がつがれ、そのテーブル越しのソファーにはあの超絶美形の男性が長い足を組んで座っていた。


年齢がいまいちわからないが三十前後なのだろうか、仕立ての良い紺色のスリーピースのスーツ姿で、ネクタイは上品な濃い紫に何か織りが入っていている。


ストレートの髪は天使の輪が出来るほどの艶やかなダークブラウンで、少し長めの髪が動くたびにさらりと音を立てるかのようだ。


透き通ったきめ細かい肌に整った顔のパーツが絶妙のバランスで乗せられ、あまりに整いすぎで人形のように感情がないのではと思わせ、昨夜は青に見えた瞳の色は今は深いグレーだが、一色では無く何か沢山の色を凝縮している。


いかにも男性的な顔というより少し中性的にも感じ取れる。


だけど広い肩幅や、昨日朱音の手を包んだ大きな手が、彼が男性だとわからせる。


もちろんルックスもさることながら、こういうものが気品というものなのだろうかと思わせるほどその男のたたずまいも動きも品がにじみ出ていて、朱音はまるで異世界の生物と対峙している気がした。



「昨夜は本当に申し訳ありませんでした。


眠れましたか?大丈夫でしたか?」



「しっかり寝ました。


ですので吉野さんもあまり気にしないで下さい」



「それは安心しました。


あぁ、僕のことは冬真と呼んで下さい」



そう言うとにこりと朱音に笑いかけたが、すぐに表情を引き締めた。



「まずは先にお話ししておきます。


・・・・・・僕は魔術師です」



唐突な言葉に、朱音は表情も変えず冬真を見る。


表情を変えなかったのでは無い、どう反応すべきかわからなかったのだ。



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