表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
横浜山手の宝石魔術師  作者: 桜居 かのん
第一章 ラブラドライトの紡ぐ出逢い
28/199

28




「さぁ、こちらへ」



部屋の中心にあるテーブルを指さし艶やかな唇でそう言うと、男はあからさまに喉を鳴らすような音をさせて、女から離れてそこへと浮遊しながら向かう。


それをみて、寝ている女性を隠すようにラタンのパーティションを広げれば、これであの男には見つからず依頼者の身は一時的にしのげる。


冬子は微笑みながらその男とテーブル越しに座った。



「・・・・・・私への愛の証明として、あの女性に二度と近づかないと誓いますね?」



『モチロンダ』



その言葉を吐いた瞬間、男の首に細いチェーンが絡まったのを男は知らない。


今までも一つずつ一つずつ、段階を踏んで男を彼女から離し、そしてその男自身に出来るだけダメージを与えずに生き霊となることを止めるには手順を踏むしか無い。


依頼者は生き霊の相手を知って今すぐに抹殺して欲しいかのような発言をしたが、冬子はまずは依頼者の身の安全を最優先とし、後は任せて欲しいと言って話しはまとまった。



「貴男は、私の心が美しいとおっしゃいましたね」



『ソウダ』



「外見では無く、あくまで心、だと」



『キミガドンナスガタデモ、ワタシハキミヲアイセル』



少しまであの依頼者へ生き霊になるほど執着していたのが、冬子に会った途端、この生き霊はずっと冬子に夢中だった。


それこそが冬真が女装までした目的なのだが、こんなにあっさり罠にはまり複雑な気分だ。



「その言葉、偽りないですね?」



男は頷く。



「貴男の言葉が欲しいのです。


どんな私でも私を受け入れ従う、と」



『アァ、シタガオウ』



シャラン。


また男の首にチェーンが巻き付いたのを確認し、冬子は自分の頭に手を伸ばしゆっくりとウィッグを外した。


しかし目の前の男は特に動じていない。



『ミジカイカミモ、ウツクシイ』



冬真は困ったような表情を浮かべ、男を見た。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ