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横浜山手の宝石魔術師  作者: 桜居 かのん
第一章 ラブラドライトの紡ぐ出逢い
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以前朱音を招き入れた仕事部屋では、朱音が怪我の手当を受けた大きな一人がけのソファーがほぼ真横に倒され、そこには目を閉じたロングヘアの若く美しい女が寝ていて、部屋の中はアロマオイルの香りが蒸気と共にたゆたっている。


オイルにはこの洋館の庭で育てた、ローズマリーにセージなどのハーブがオリジナルで調合されていて、今まさに魔術儀式の最中だった。


この生き霊にとらわれた女性から生き霊を完全に引き剥がすため、冬真は女の姿をして過ごしていた。


依頼者を紹介してきたのは冬真の本業での馴染みの相手で、先に紹介者から事情を聞いていた冬真は女装をして、最初から依頼者自身に女性だと信じ込ませた。


紹介者からの情報を鑑み、その女性に憑いている男の警戒を緩ませるためには男して会うのはマイナスと判断した故で、女装だけではなく男としての匂いを消すために独自に作った香水をまとわせ、何度も依頼者とそしてその後は生き霊である男と中心に会話を続けた。


その男は一方的に彼女に好意を抱きストーカー行為だけでは満足せず、生き霊になってでもつきまとう状況に警察で対応してもらえるはずも無く、依頼者である彼女は心身共に衰弱していった。


今夜が彼女から生き霊の男を引き離す日だったのだが、まさか今日朱音が来るというのは予想していなかった。


だがリビングのドアには先ほど封印をし、もしこの部屋から生き霊が逃げたとしても彼女に被害が及ぶことは無い。


これ以上生き霊に取り憑かれたままでは依頼者である彼女の身が持たないと、最後の儀式を決行することに決め、冬真が、ゆっくりと呼吸を繰り返す目の前の女を注視していれば、段々と部屋の中の空気が濁りだしてきた。



『アァ、アイタカッタ・・・・・・』



寝ている女から、何故か男がゆっくりと起き上がる。


角張った大きな顔、目と口が異様に大きく一見人間には思えない。


元々の男の執着をこの依頼者からから冬子、冬真が女装した女にターゲットを変えることは思ったよりも簡単に出来た。



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