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横浜山手の宝石魔術師  作者: 桜居 かのん
第五章 偽りのラピスラズリ
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冬真はずっとドア越しに健人が聞き耳を立てているのは気が付いていたが、まさか入ってくるとは思わず健人を見れば心底呆れたような視線を健人は送る。



「さっきから同じ事を二人してぐるぐる回ってていい加減面倒になった。


朱音、お前はここに戻ってきたいか?」



健人が冬真の近くに来て朱音に問いかける。



「もしもご迷惑じゃなければ」



「迷惑とかそういうのは抜きだ。


単にお前の素直な気持ちを聞いているだけなんだよ。だから正直に言え」



冬真はただ朱音の表情を見ていた。


あれだけ恐ろしいことや自分の身勝手を思えば出て行きたいというのは当然なのだろう。冬真はそれを受け入れるべきだと思うのに、何かわからない自分の感情に見て見ぬ振りをする。



「居たいです、ここに。健人さんと、アレクと」



朱音はそこで区切って冬真の方に顔を向ける。



「そして冬真さんと」



すぐ照れて下を向いた朱音も、座っている冬真を少し後ろから見下ろしていた健人もその時の冬真の表情は誰もわからない。



「なら決まりだな」



勢いよく冬真の背中を叩けば冬真は前のめりになって少し咳き込んだ後笑う健人を見上げ、そして少し困ったように冬真も笑う。


そして朱音に顔を向けると優しげに笑みを浮かべて、朱音は照れくさそうにした。



「では朱音が戻ってきたことを祝して昼飯にするか。


アレクがいつでもスタート出来るように用意してるぞ。


お前達の話が終わらないと昼飯は出さないとアレクに言われてこっちはとばっちり食らってたんだから早く来い」



そういうと健人は部屋を出て行き、冬真と朱音は顔を見合わせると軽く笑った。



「あの、これ可愛いパジャマなんですが、このままで部屋を出ても良いでしょうか」



「朱音さんは何を着ても可愛いですから気にすることなどありませんよ」



キラキラとした笑みで冬真に言われ、久しぶりにこの背後で薔薇が舞うような冬真を見たとドキドキする気持ちと、冬真への気持ちを再確認してしまう。


もっともっと彼を知りたい。


彼の本音をもっと話してもらえる存在になりたい。


朱音はラブラドライトのネックレスが再度チャンスをくれたように思えてならない。



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