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横浜山手の宝石魔術師  作者: 桜居 かのん
第五章 偽りのラピスラズリ
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「辛い・・・・・・いえ、思ったより辛くは無いです」



朱音は考えながら、でも最後は言い切った。



「まだ実感が湧かないからかもしれないんですけど」



そう言って左手の包帯に視線を落とす。



「でも、トミーさんも冬真さんも生きてるから。


生きているならいつかまた、会えるかもしれないですし」



手の痛みはほとんどない。


だから手の包帯を見てもあの日のことは夢だったのではと思えてくる。


そんな朱音を見て、健人はしばらく口を閉じていたが笑みを作った。



「そうだな。まぁあいつは早々死ぬような男じゃ無いから放っておけ。


俺は気分転換に外で食べるのが好きだから今後も付き合えよ?


それとも俺じゃ嫌か?」



「まさか!そんな事思ってないです!」



あわあわと手を振って朱音が言えば、



「ふーん、一度でも断ったら今度のイラスト集やらんからな」



「え、イラスト集が出るんですか?!買います!」



急にファン全開の顔をした朱音に健人はニヤッとする。



「買わなくていい、やるから」



「いえ、買います!」



「自腹で買うならサイン入りやらんぞ?」



その言葉にうぐっと朱音は言葉を詰まらせたが、顔を引き締めた。



「それは保存用にします。なので別に自分でも買います」



「お前結構強情だなぁ。


よし、三冊やるから買うなよ?その金は昼飯代の足しにしろ」



あぁっ!と身をよじりながら頭を抱えている朱音を、健人は面白そうに眺める。



「まぁお兄ちゃんはお前の味方だよ」



ワインを自分でグラスに継ぎ足しながら健人は笑った。


それを見て、健人からの温かな心に胸が一杯になりながら朱音も明るい笑みを浮かべた。



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