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横浜山手の宝石魔術師  作者: 桜居 かのん
第五章 偽りのラピスラズリ
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朱音は無意識にパンツのポケットに手を入れ、じゃらっとした鎖と冷たい石に指が触れた。


朱音はそれを取り出し見つめる。


ラブラドライトはまるで冬真の瞳のごとく青い光を放って、朱音はそれを握りしめると痛む足首を我慢して立ち上がった。


それに気が付いた冬真が朱音を見たが、朱音は冬真を少し見た後トミーの前に来る。


膝上まで来ていた多くの手が太ももまで絡みつき、既にトミーは立つことも出来ずひたすら涙を流しながら側に来た朱音を見上げた。



「アカネ・・・・・・」



その声は弱く、もう全てを諦めているようだった。


朱音は突然拳を振り上げると、その円柱の光の柱にぶつけた。


ガン!という大きな鈍い音がして、冬真は一瞬反応が遅くなる。



「やめなさい!」



冬真が朱音の背後から再度振り上げた手を掴むと、朱音は冬真を睨んだ。


思わず怯んで手の力が抜けると、朱音はその手をぱしりと叩いて再度振り上げ柱からガン!という音が響く。


何度も繰り返していると、朱音の手から血が滴り、柱を伝って落ちていく。


トミーはただそれを見上げていた。


冬真が朱音の身体ごと後ろに引き寄せ、振り上げた手首を強く掴む。


手にはラブラドライトのネックレスが握られ、朱音の手に刺さったラブラドライトの破片から流れる血が、冬真の手に落ちた。



「無駄なことです。もうやめなさい」



我が侭を言う子供をなだめるように冬真は言ったが朱音の瞳は強く、冬真はそんな朱音の手をゆっくりと開放する。



「これ、ジェムなんですよね?お守りなんですよね?


ならトミーさんへのお守りにだってなるはずです」



「それはあなたのお守りです。彼のものでは無い」



「だったら大丈夫です」



冬真は朱音が確信したように言った意味がわからない。



再度柱に向き合い、一心に拳を、いやラブラドライトを叩きつけた。



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