表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
横浜山手の宝石魔術師  作者: 桜居 かのん
第五章 偽りのラピスラズリ
168/199

10




「お嬢さんは今どこにいるんですか?日本じゃ無いんですか?」



トミーは写真を受け取りその写真を愛おしそうに眺めた後、またケースに入れてポケットにしまった。



「ムカシニホンニイマシタ。イマイギリスネ」



「一緒に旅行できなかったんですか?」



朱音はトミーの寂しげな表情で、自分が軽はずみな発言をしたことに気が付いた。


もしかしたら娘さんは病気でトミーは代わりに来た可能性もあるのにと思って、朱音は慌ててしまう。



「あ、あの、冬真さんには何のご用なんですか?」



とりあえず内容を変えたつもりが、トミーが首をかしげたのを見て日本語が通じなかったのかと急いでスマートフォンを出すと、翻訳アプリで変換した内容をトミーに見せればトミーが笑みを浮かべ何とか通じたようだった。



「トーマとマイドーターのウェディング、ハナス」



その言葉に朱音は言葉を失う。


ハナス、打ち合わせという事だろうか。


冬真さんとトミーのお嬢さんが結婚する、その打ち合わせをしにお嬢さんに変わって父親のトミーが来た、その事実がわかって朱音は頭が真っ白になる。


あの冬真さんに彼女がいないなんてことはあり得ないのに、そういう陰が見えないことを朱音はどこか安心していた。


だが現実はイギリスに婚約者がいて、だから日本で女性の影は無かったのだ。


クリスマスにイギリスに帰った理由も婚約者と過ごすためだったのだろう。


やはり冬真は自分の保護者みたいなもの、ということが真実だったとわかって朱音は涙が出そうになるのを必死に我慢する。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ