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横浜山手の宝石魔術師  作者: 桜居 かのん
第一章 ラブラドライトの紡ぐ出逢い
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朱音は呆然とその姿を見送り、椅子に腰を下ろす。


何だか冬子には全てお見通しなのでは無いかと思いそうになるが、それに怖さは感じない。


妙に裏を読んでいる人に会うこともあるが、そういう人は打算が透けて見えて怖さや嫌悪感を感じることがある。


彼女はカウンセリングをしているというのだから、多くの人を見てそういう細かいことに気が付き配慮できる人なのだろう。


朱音は純粋に感動しつつ、また一人になったこの部屋を見渡す。


さっき座っていた椅子からは見えな無かった場所に、目がとまった。


円柱のガラス製の瓶に、小さな青い薔薇が一本と、小指大くらいの宝石のように光るものがいくつか浮いて入っている。


流行のハーバリウムというやつだろうか、見たことも無い美しさに朱音はただじっと眺めていた。






その後、冬子が薔薇の柄が描かれたお洒落なトレイに、紅茶やプリン、焼き菓子まで用意してくれ、なんとも素敵なお茶会が始まった。


素敵な洋館、目の前の女神のように優しくて美しい人が笑みを浮かべ紅茶をつぎ足してくれれば、ふわりと優しげな香りが立ち上がる。


きっと世の男性達はお金を積んでてもいいからこの空間を味わいたいのでは無いだろうか、いや、女性でもある程度払って味わいたいと言う人も居るだろう。


もの凄く儲かりそうだなぁ。


そんなことを思ってしまった自分はなんて小さい人間なのかと、朱音は笑顔を浮かべながら心の中で懺悔していた。


そして、冬子との会話は驚くほど心地よかった。


見合いでは相手の男を不機嫌にさせないため聞いている側に徹していたし、仕事でも何でも自分を前に出すよりもあくまで相手がメインだ。


だが冬子との会話はまるでずっとエスコートされているかのように、自分の歩幅に合わせ、心遣いを感じさせるその会話は朱音の気持ちを軽くさた。


彼女と話したいが為に占いをお願いしたり、カウンセリングをうける人がいて、多くの人が救われてるのでは無いだろうか。


彼女の美しさで人が来るのだと単純に思ってしまったけれどそうじゃない。


彼女自身にあるとても温かなものが、より彼女を不思議なほど美しくしているのだと朱音は感じていた。




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