表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
横浜山手の宝石魔術師  作者: 桜居 かのん
第四章 恋と罠のインカローズ
157/199

45




車の音がすぐそばで止まったことに朱音は気がつき、自室のドアのそばに行って玄関のドアが開く音をじっと待つ。


ガチャリと鍵の開く音と足音が聞こえ、朱音はたまらず自室のドアを開けた。



「朱音さん」



驚いたように冬真が部屋から出てきた朱音を見る。


アレクは少しだけ二人に視線を向けた後、会釈をして二階に行ってしまった。



「お帰りなさい」



視線を少しそらしながら朱音は小さな声で冬真に言うと、冬真は苦笑いを浮かべる。



「今日はお疲れ様でした。


疲れて眠れないならアレクにお酒を用意させましょうか?」



優しくそう声をかけられ、朱音は目を見開く。


言いたいことが沢山ある。聞いてほしいことが沢山ある。


でも冬真はそれだけで何も聞いてこないし、踏み込んでこない。


それが朱音の心を酷く苦しくさせ、次に出す言葉が出なくなってしまった。



「・・・・・・お休みなさい」



朱音は俯いて何とかそう言うと、自室のドアを開ける。



「朱音さん」



再度呼びかけられても朱音は振り向かない。


そんな朱音を見て冬真は少し目をつむり、再度目を開けると優しげな視線を背中に向ける。



「もうこんな時間です。


明日、ゆっくり話しましょう」



その言葉に朱音の背中が少し揺れる。


朱音は振り向かずに、はい、とだけ言うと、そのまま部屋に戻った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ