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横浜山手の宝石魔術師  作者: 桜居 かのん
第四章 恋と罠のインカローズ
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30



朱音はそんな絵里達を前に、もしかしたら冬真の言っていた例のインカローズのブレスレットの可能性があると思えた。


こんなチャンスを逃すわけには行かない。


時計を見ればまだセミナーが終わるまで10分ほどある。


朱音はきゅっと右手を握り、必死の顔で自分を見つめる女子高生二人を見た。



「わかりました。コートと鞄を取ってくるからここで待ってて下さい」



その返事に、絵里と真央は一気に嬉しそうな顔をした。



「すぐ戻ってきて下さいね!」



絵里に急かされ、朱音は急いで洋館に入り二階に上がれば冬真の話す声がレクチャールームのドア越しに聞こえる。


荷物を置いている会議室に行けば、アレクはいない。


ランチの荷物を一旦持ち帰ったのだろうと思い、朱音はスマートフォンを取り出し冬真に簡単に事情を打ってLINEを送り、鞄とコートを取って急いで部屋を後にした。




*********




早足で横浜山手洋館地域のある高台から降りて、人でごった返す横浜中華街の中に入り込む。


朱音と女子高生の絵里と真央は歩きながら互いに自己紹介をし、早足でスマートフォンの地図を見ながら歩く絵里達の後ろで、歩くのが速いです、そもそも歩きスマホはいけません、という言葉を朱音は心の中で繰り返しながらついていった。


平日でも混んでいる中華街だが、土曜ともなるとその混み方もすさまじい。


カラフルな看板、店の前で売っている肉まんなどの良い香りが漂い、カタコトで中華料理店の呼び込みをする人を傍目に見ながら、朱音は今自分がどこにいるのかさっぱりわからなかった。


元々ほとんど中華街に行ったことの無かった朱音には、どの路地も同じように見えて、慣れたように進む女子高生達に必死についていくしか無い。


やっと絵里と真央が立ち止まり、スマートフォンの地図を確認しビルを見上げる。


騒がしいエリアから少し離れているようだが、ビルが密集しているところで薄暗い階段が奥に見え、一階の店舗らしきところはシャッターが降り、スプレーで落書きがされている。



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