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横浜山手の宝石魔術師  作者: 桜居 かのん
第一章 ラブラドライトの紡ぐ出逢い
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「きっと素敵なネックレスなのでしょうね」



「あ、今持ってます!」



まさか冬子がそんなことを言ってくれるとは思わず、慌てるように横の椅子に置いていたカバンを開け、小さなふっくらとした布製のケースを出す。


そのケースをあけ、そっとペンダントを取り出した。


その布製のケースはネックレスのチェーンが石につかないよう、チェーンがもう一つの場所で固定されるようになっている。



「どうぞ」



「触ってもよろしいんですか?」



「はい、是非。


動かしてみてください、石の色が青に変わるんですよ」



ネックレスを朱音が差し出すと、冬子は驚いたような表情を浮かべ机越しに受け取る。


それをみて朱音は嬉しそうに色が変わることを教えた。


親指より大きい楕円形の石の周りをシルバーで細工の凝った台で包んでいて、少し長めのシルバーチェーンがついている。


冬子はそれを裏返してまずは細かく見ていたかと思えば、表にすると石を自分の目に近づけ、少し動かしたりしている。


朱音は単に受け取ったネックレスをそのまま見るのだと思っていたので、念入りに見ている冬子を驚きながら見ていた。



「確かにラブラドライトですね。


透明度も高く、ラブラドレッセンスも美しい。これは青色が強く出ています。


シルバー台の後ろに紋章が入っていますので、どこかの貴族が作らせたのでしょう。


とても良い品です。五万円くらいならむしろ安いですよ」



冬子はすらすらとそんなことを話し、近くに綺麗に畳んであった布で優しくペンダントを拭くとその布の上に乗せ、笑顔で差し出した。


朱音はぽかんとしていたが、慌ててペンダントを受け取る。



「冬子さんって石にお詳しいんですね。


あの、無知で恥ずかしいのですが、ラブラドレッセンスってなんのことですか?」



「無知なんかじゃありませんよ、大抵の人は知らない専門用語ですから。


ラブラドレッセンスとはラブラドライトなどに見られる虹のような輝きのことです。


この石は七色に光るより青に光りますが、緑や黄色に光るものもありますよ。


日本はパワーストーンが人気で、そラブラドライトも有名ですからね。


占い業をしてますし、私自身宝石はとても好きなので」



にこりと笑った冬子を見て、初めてこのペンダントと思い出を何の偏見も無く受け入れてくれた人だと朱音には思えた。



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