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横浜山手の宝石魔術師  作者: 桜居 かのん
第四章 恋と罠のインカローズ
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26



*********




朱音は冬真に言われたとおりセミナーが始まったのを見計らって一階に降りようとしたら、制服姿の高校生らしき女子が一人、朱音に声をかけてきた。



「あのぉ、もう入れないですか?」



既に今回のセミナーは申込者全員が参加していて、声をかけてきたのは遅れてきた学生では無いことを朱音はわかっていた。


ブレスレットを確認したいがこの女子生徒は長袖の紺のカーディガンをしていてわからない。



「セミナーはあっという間に一杯になってしまって」



朱音の返答に生徒はわかりやすいほどがっかりした顔をしたが、



「インカローズのブレスレットは今されてますか?」



「はい」



朱音の問いかけに生徒は思い出したように袖口をめくり朱音に見せた。



「実はミニ占いだけ少しだけ空きがあるんですが申し込まれますか?


セミナー参加者さんが優先なのでその後の順番になりますが」



と朱音が言うと、ぱあぁっと学生の顔が明るくなる。



「待ってます!お願いします!」



「ではセミナーが30分くらいで終わるので、レクチャールームのドアが開いたら占いの受付をしますからその頃にまた戻ってきてくれますか?」



「はい!わかりました!実はあの綺麗なお兄様に会いたかったんです!


インカローズのブレスレットしてきて良かった~」



心底嬉しそうにして学生はお辞儀をすると階段を降りてこの洋館を出て行った。


考えてみれば朱音があの洋館に住むずっと前から冬真は住んでいて、この地域を歩くこともあるだろうし、そこで女子学生達が話題にしない訳がない。


女子学生達が冬真を見てきゃぁきゃぁ騒いでいる姿が目に浮かぶようで、きっと今日も恋を叶えたい相手が冬真の可能性だってあることに朱音は気がつき、何故か胸の奥がきゅっとする。


朱音は頭を振って気持ちを切り替えると、玄関で靴に履き替え道路を見れば冬真が予想したように女子学生達が何組かいる。


さすがに制服では無い大学生は一瞬観光客か見分けがつかないかと思ったが、話す内容で今回のセミナーに参加できなかった人達だと判別がつく。



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