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「私でもお役に立てるんですよね?」
「朱音さんだからこそお願いしています」
「喜んでお引き受けします」
迷うこと無く真っ直ぐに冬真を見てきっぱりと答えた朱音に、冬真は何故か心の中に戸惑いが浮かぶ。
自分から朱音を魔術師秘書などというものにさせ、危ない目には遭わせないと言いつつも危険が排除できないことを正式に頼んで、彼女は自分の仕事の役に立つ、是非使いたいと思う冷静な自分の中に、何の疑いもせずに純粋に役に立ちたいと答える朱音を見て断ってくれたならという感情が芽生えた事を、冬真は目を瞑って打ち消した。
「ありがとうございます」
にこりと笑みを浮かべそう言った冬真に、朱音は嬉しそうな表情を浮かべる。
「先ほどお話しした学校から、夏休みに体調を崩し入院した生徒が数名、問題行動を起こし警察から連絡のあった生徒が数名出ました。
夏休みは開放的になりがちですし、大人数の学校なら羽目を外すような事が少しくらい起きてもおかしくはないかもしれません。
でも生徒達は皆、品行方正で今まで何の問題も無い生徒ばかりで、段々学校側も違和感を感じていたようです。
そして行方不明の生徒がどちらの学園でも出てしまい、なかなか警察では取り合ってくれないと私達の団体に相談が来たのです。
そして調べていて一つ共通点がありそうだとわかりました」
朱音は思ったより深刻な話しに、表情を引き締める。
「女子学生が皆、パワーストーンのブレスレットを購入しているのです」
思わず朱音は首をかしげた。
てっきり恐ろしい魔術で人が消えている、くらいを思っていたので肩透かしにあった気分だ。
だいたい大人だって好きなパワーストーンを、年頃の女の子ならそれなりに持っていて不思議は無い。
そんな朱音の疑問を冬真はわかっていた。