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「恋のパワーストーンのお話しと占いもあります。
女子学生限定なので、申し込んで下さいね~」
朱音は9月少し経った平日の夕方、ちらしをとある名門女子校の近くで配っていた。
学校には既に許可を得ていて、こういうちらしはあまり受け取らないだろうと自分の経験から朱音は思っていたが、恋のパワーストーンという言葉は女子学生にはそれこそ魅力的な言葉なのか、ほとんどの学生が受け取ってわいわい話している。
そのちらしには、
『「恋のパワーストーン、インカローズ」
インカローズの話題を中心に、セミナー後、参加者限定で占星術占いあり
場所:山手234番館 レクチャールーム(占いは会議室)
時間:14:30より
参加費無料
参加資格:中、高、大学生の女子学生のみで、当日インカローズのブレスレットをしていること
定員:25名
参加申し込みは以下のメールでお申し込み下さい』
と書いてある。
講演者はもちろん冬真の名前、肩書きは宝石業・占星術師となっている。
横には冬真っぽい素敵な男性がピンクの宝石を手の上に浮かばせているイラスト。
これは健人によるもので、朱音はこのちらしがすりあがったとき無言で見つめていたら健人が笑って一枚朱音に渡し、朱音の大切なコレクションが増えた。
ちらしを配り終え朱音が洋館に戻ると、冬真が申し訳なそうに出迎えた。
「せっかくのお休みにすみません、疲れたでしょう?」
「いえいえ大丈夫です。
それにどうせ有給使っても部屋でだらだらしてましたから」
そう言いながら、冬真に促されリビングに行く。
こんなことをすることになったのは数週間前の事だった。