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横浜山手の宝石魔術師  作者: 桜居 かのん
第四章 恋と罠のインカローズ
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6




たどり着いた店は少し裏路地にあり、濃い茶色のドアをスライドすれば外からは気が付かなかったが既に人がそれなりに入っている。



「おう、橘」



食器を片付けていた男が健人に気が付き声をかけた。



「奥空いてるか?」



「空いてるよ」



そう答えた店員は健人と年が変わらなそうで、健人より身長は低いが体格も驚くほど似ている。



「また泳いでたのか?水から離れられないな」



「お互い様だろ」



店員が隣を通る健人に笑いながら声をかければ健人も笑って答え、朱音はその言葉の意味を不思議に思いながら店員に頭を下げると、驚いたような顔で朱音を見ている。



奥に行くとちょっとした引き戸のある個室で掘りごたつがあり、朱音が入り口に近い方に座ろうとしたら、健人が笑って朱音を奥に座らせた。



「朱音はソフトドリンクだよな?


肉、野菜、揚げ物、何がいい?」



「全くわからないので健人さんのおすすめで」



メニューを見てみるが、今日の渾身のサラダAとか、俺の肉(松竹梅)などと書かれていて意味が朱音にはわからず健人に任せることにした。



「俺のおすすめだと肉ばかりになるぞ?」



「サラダは食べたいです」



笑って健人が言えば、朱音は真顔で主張した。


ドアが開いてさっきの店員がおしぼりと水の入ったコップをテーブルに置く。



「君、橘の彼女?」



「へ」



店員の唐突な質問に、朱音は間の抜けた声を思わず出してしまう。



「違う違う、俺が住んでいるとこに新しく入った子なんだ。


ちょっかいだすなよ、冬真が本気で殺しにかかってくるからな」



「あの美形の彼女なの?!」



心底驚いてまじまじと店員から見られ、居心地が悪い。


どう考えても、あの美形にこんな女が?!っていうのが痛いほど伝わるし、朱音自身もそう思って何故か凹む。



「お前、そのリアクションまずいだろ」



健人の注意に、店員は慌てる。



「いや、そういう意味じゃ無くて、あの美形、女に興味があったんだなって」



「あぁそっちね」



二人してうなずき合っているのを見て、朱音は冬真が女装していた時を思い出し、大抵の女性じゃ美人とか綺麗だなんて思わなそうだという点で同感できる。




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