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横浜山手の宝石魔術師  作者: 桜居 かのん
第三章 君を守る檻とルビー
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時々冬真の客にお茶を出したりしているのは知っていたが、単にアレクが動けないから朱音が手伝っているくらいの認識だった。



「大丈夫です、朱音さんは僕が大切にしますから」



にっこりと朱音に冬真は微笑み、思わず朱音はその言葉がまるで愛の告白のように聞こえてしまい恥ずかしくて俯く。


そんな意味で言ってはいないとわかっているのに、何度も脳内で再生してしまい、録音したかった、出来れば映像ごと、などと朱音は恥ずかしそうにしながら考えていた。


そんな様子を見て、より健人は苛立っている。



「そこは守る、とかだろう?!嫁にでももらう気か!」



「冗談ですよ。


健人の方こそ、まるで朱音さんの父親みたいじゃないですか」



その言葉に、健人はきょとんとしたが、何かを思いついたようににやりとした。



「おい、朱音」



「あ、はい!」



健人が笑顔で呼びかけて、朱音はお花畑になっていた脳内を消し身を正した。



「俺のことは今から兄と思え」



「え?!」



「冬真はただの大家だ。


俺はお前の兄だから何でも相談に乗る。遠慮するな。


特に大家の横暴はすぐに俺に話せ」



腕を組んで既に決定したとばかりに健人は笑って朱音に話しかけ、横にいる冬真を見て、冬真は目を丸くすると、くすっと笑う。



「随分とシスコンなお兄さんですね」



「横暴な大家から可愛い妹を守らなきゃいけないからな」



あはは、くすくすと健人と冬真が向き合って笑っているが、少なくとも心から楽しそうでは無さそうだ。


魔術師秘書の次には突然兄が出来て、自分は一切何も意思表示をしていないと思うのだが、もしかしてどこかで了承してしまっていたのだろうかと朱音は自分の発言を思い返すがいまいち自信が無い。


だが何故か嬉しい。


冬真が自分の行動を見て必要としてくれたことも、健人が心配して自分から兄となるなんて言ってくれることは、朱音からすれば幸せに感じる。




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