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横浜山手の宝石魔術師  作者: 桜居 かのん
第三章 君を守る檻とルビー
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「僕は近々朱音さんに魔術師秘書として本格的なお仕事をお願いすることになりそうなのでそれに応じていただけたらと」



「おい、なんだそれは」



にこにこと話した冬真を、健人が睨む。



「何がですか?」



「魔術師秘書って何だ?!朱音のことか?!」



「そうですよ?」



「そうですよ?、じゃねぇよ!


何勝手に朱音をお前の仕事に巻き込んでんだ!


聞いてないぞ!俺は!」



「聞かれてないですし」



「どう聞きようがあるってんだ!


吐け、何が目的だ、このエセ紳士が!」



「そんな言い方、傷つくじゃ無いですか・・・・・・」



「切なそうな顔して何でも許してくれるのは女だけなんだよ!」



「そうでもないですよ?」



怒りながら話す健人に、冬真は笑顔でのらりくらりと返し、その言葉に健人の堪忍袋の緒が切れた。



「いいから全て吐きやがれ!」



朱音は目の前で繰り広げられている口喧嘩にオロオロとしてしまうが、手がむなしく空中をさまようだけ。



「ずっと女性でサポートをしていただける人が欲しかったんです。


朱音さんの仕事ぶりを見て、是非にとお願いしたら快諾して頂けたので」



お願いされた覚えも快諾した覚えも無く、気が付くとそうなっていたのだがあまりに冬真が自信ありげに話すので、朱音はもしかしたら自分が忘れているだけでそういうやりとりがあったのではと思えてくる。


完全に冬真の大嘘なのだが、自信ありげに言われれば自信の無い者は自分の記憶の方が間違っていると思いがちだ。



「そうなのか?」



健人が朱音に尋ね、朱音がちらりと冬真を見れば笑顔だ。何を意味しているかは不明だが。



「えっと、経緯は忘れてたんですが、ここにタダで置いて頂いてますし冬真さんのお手伝いが出来るなら私は」



「駄目だろう?!」



えへへ、と誤魔化すように笑って答えた朱音に、健人は大きな声でテーブルから前のめりになる。



「ここにいることをお前が申し訳なく思う事に、こいつがつけ込んでるだけだろうが!


そもそも経緯を忘れてるって何だ?!


何かしたんじゃないだろうな、お前」



「してません。そこは誓います」



「そこはって他は何をしたんだ?!」



健人としては自分の知らない間にまた冬真が朱音を縛っていたことを知り、苛立ってしまう。




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