33
「冬真さん、ありがとうございます。大切にします」
「仕舞い込まないでつけて下さいね?」
「高額な物を身につけるのは怖いですし、こういう素敵なものが似合うようになったらつけたいと思います」
「それは違います。
宝石はあくまでつける本人を飾る物。
それをつけてより自分を華やかに、そして素敵に見せれば良いだけのこと。
宝石が似合うまで、なんて言っていたら、何歳になってもつけられません。
大丈夫、朱音さんはそのルビーに負けないほど可愛いですから」
ウィンクしてそんなことを言われ、朱音の顔がルビーに負けないほど一瞬で赤くなる。
むしろこんな綺麗なイケメンに可愛いなんて言われウィンクまでされて、平然と出来る女性なんているのだろうか、いやいるまい。
「お前って実はイタリア人とのハーフなんじゃねーの?
よくそんな歯の浮くような台詞と態度を平気で出来るよな」
面倒そうに言った健人に、
「僕は別にイギリス紳士ぶる気も、日本男児ぶる気もありません。
純粋にそう思ったから口にしただけです」
「日本の男はなぁ、そういう風には言わないんだよ!」
「健人、それはいけません。
女性は存在だけで素晴らしいんです、素直に褒めるべきです」
真顔で言った冬真に、健人が目を見開いた後、こういう奴がいるから嫌なんだよ・・・・・・と呟いてビールを煽った。
そんなやりとりを見て、朱音はくすりと笑う。
こんな風に言い合っていても二人は仲が良い。
冬真も健人もここでは素をさらけ出していて、そんな中に自分がいられることが朱音は嬉しい。
「アレク、プレゼントありがとう。
最後のケーキまでどれも素敵で美味しかった。
出来れば全部写真に撮って友達に自慢したかったよ」
朱音からわざとなのか少し離れて座っているアレクに言えば、アレクはやはり目を大きくさせた後、ふい、と顔を背け、当然のことをしたまでです、と言って紅茶を飲んでいる。