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宇宙のカラー  作者: 湯長 森一郎
序走

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9 不調は続く

 得体のしれない重みは、しつこくまとわりついてくる。

 ラインガルスの体は鈍り、歩けなくなった。寒気がする。

 アガタの助けを借りて荷台に乗ると、荒く呼吸する。


 ラインガルスを気づかって、アガタとチートンが自分たちのマントを体の上にかけてくれる。


 体調が落ちるほどに、目には見えない死神が体をすり付けてくるような感触が明確になってくる。

 冬の水に浸かったまま魂を喰ちぎる牙の甘噛みが続く。


 隣に転がっているチートンが、ふうう、ふうう、と息を吐くと、少し楽になった。

 王都を離れるにつれて、だんだんと重みが減り、ある時、一瞬で重たさが消え去った。


 横になっていたラインガルスは体を起こして指を動かす。さっきまで力が入らなかった体が動く。


「うむ。生き延びた」


 マントがなければライフオーバー(しんでいた)

 受けたダメージが正体不明すぎて、どうして動けなくなったのかさっぱりわからない。


「ちょっといつ死ぬかわからないってこわいな」


 メミトレーの攻撃じゃないよな?

 チートンが聖片のマントを伸ばして、気にすんなよ守ってやるよ、そんなふうにラインガルスの頭をなでた。


「ありがと、どうも」


 照れくさくなりラインガルスは寝転がる。

 荷車をアガタが引き、チートンも持ち手にぶらさがり、栄養剤ボトルをくわえている。


 するっと、岩影から頭を低く下げたリンガリザードが現れ、荷車へ近づいてきた。

 顔の周囲に角状のトゲ、腕が太く、牛よりも大きい。

 アガタがおびえて「ぷわぁ」と言った。


 アガタはまだ弱く、チートンは回復中。

 ラインガルスは体力だけならいけそうだが、記憶にある命を削るダークパワーなんて使い方、まったくわからない。

 逃げようか、と逡巡する中、思い出す。

 リンガリザードは肉ランクに入っていたぞ。


「あいつは干し肉より、ずっとおいしい」ラインガルスが指さすと

「かくほー!」アガタがつっこんでゆき

 リンガリザードの尾のひとふりで、骨が折れる音と共に吹っ飛ばされていった。

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