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宇宙のカラー  作者: 湯長 森一郎
第一章 龍の影
18/26

18 倉庫での会話


 倉庫につくとヴァインが待っていた。

 ラインガルスたちを見て、けげんな表情になる。


「今日からよろしくお願いします。戦士は後から来ますか」ヴァインが言った。

「いや、これで全員」

「今日は西でローチウルフ狩りの予定と聞きました。おっかしいなあ」ヴァインが頭をかいた。

「馬車3台のローテーションで、狩士ポンゴルのクランから装甲馬車と護衛も付くそうです」


 ホッツの仕事が早い、ラインガルスは感心した。


「それでいい」


 ヴァインの常識では戦士団がいなければ成り立たない狩りなのに、雇い主、少年、少女、ブタしかいない。


「うーーん、わからん。わかりません。俺の仕事は準備だ。なにをしたらいいですか」

「ルティとヴァインの装備を最低限整えて、朝食を買ってきてほしい」


 ラインガルスはヴァインへ金貨を20枚渡して


「ルティは服や肌着、ヴァインはまかせる。戦うよりはすぐ逃げられる用意を」と言った。

「手紙も出してきていい?すぐ近くだから」ルティが言った。


 倉庫へ入って声をかけるとホッツが振り向いた。


「おはよう、早かったな」

「同行者が買い物にでかけていて、戻ってくるまで少しかかる」

「そうか、ヴァインはいいやつだ、狩士になるために貯金してる。まず昨日の獲物の話から片づけるか。トリコカバ3体で肉は保管、それ以外は売却してもいいんだな」

「そうだ」


「そうすると、大きいものからだとトリコカバの皮だ。すぐ売るなら金貨2千枚、時間をかけてもいいなら3千枚以上で売れる、骨、筋は数十枚だろう」

「運搬費用がどれくらいかかるかによるかな、手持ちがそれほどない」

「ローチウルフを大量に仕留める予定で馬車3台を用意した。護衛も雇っておいたが、こっちの都合扱いで馬車3台ぶんだけでいい。金貨3枚。本来は運び人や護衛も雇うから、馬車1台につき金貨2から5枚が相場になる。一日払いになっていて、午前からでも午後からでも値段は変わらない」

「なるほど」


「トリコカバの皮を代行売却していいなら、解体、肉の冷蔵は半年無料でもいい」

「よくわからない、どういう仕組みだろう」

「代行売却で2パーセントを手数料でもらう、金貨180枚、それに、魔法を通さないトリコカバの皮で傷なしは、買いたくても手に入らない素材だ、売り先に恩も売ることができる」

「それならそれでいい。骨や筋の代金から馬車代は引いてもらえるかな」

「慣習で、骨や筋の売却益は折半になっている、運び屋はそれで利益を得ているんだ、いいか?」

「わかった」


「書類はあとで用意しておく、とりあえず握手だ」

 ラインガルスとホッツが握手する。


「うちのクランは、おいしい肉のための狩りが最優先になる。ローチウルフはおまけでルートを設定してもらいたい」ラインガルスが言った。

「問題ない。ローチウルフは異常に増えていて、手が着けられない危険な状態だ、向こうから寄ってくる」


 ポンゴルクランから派遣された狩士たちはそっけなく、軽くあいさつをしただけだった。

 子供のお守りか、という態度が透けていた。


「トロン、クロン」ホッツが呼ぶとラインガルスよりわずかに年下な少年たちが走ってきた。眉の太い顔立ちがよく似ている。


「おねがいしやーす」


 元気にあいさつする。


「うちの荷運びだ、こちらは狩士のラインガルス」

「よろしく」

「あんまり年、違わないよね、よろしく」


 クロンの言葉を聞いたホッツがにやりと笑った。


 ルティが先に戻ってきた。

 薄いなめし皮のターガードが縫いつけられた狩猟服に着替えている。


「手紙を魔法送信してきた。早ければ明日にでも迎えが来そう」

「家族は心配してるだろう」

「してるねー」


 ヴァインが買ってきた朝食は、ローズヒップヨーグルトのイチゴゼリーのせと、黒パン。

 大きな水筒から注がれた水が新鮮でおいしい。


「おーにくー、ドコデスカー」アガタが言う。

「なにその変なしゃべりかた」ルティが笑う。

「朝のルティのまね」

「こーのーやろーーーー」


 逃げるアガタをルティが追いかけていった。

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