表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宇宙のカラー  作者: 湯長 森一郎
第一章 龍の影
17/26

17 ラインガルスの知識

「昔から新鮮なチーズと果汁を練ったのがうちのチーズケーキなんだよね」

「ふーん」

「なんだよ、もっとかまってよ。ラインガルスって長いから、ラインでいい?」

「まあ、いいか。うちの戦力はチートン先生だけなのは知ってるか」

「この子?使役獣なの?」ルティが隣にいるチートンを指さす。

「チートン先生は、なんかすごい存在だ」

「それなら、ラインとアガタは?」

「このあたりのモンスターと戦える実力はない」

「私は大男級ビッグマンクラスの力はあるって、ライセンスを来月取りに行く予定だった」

「若いのにすごいな」

「貴族が通うバトルスクールがあるの、家でも独自の講座があった」


 それにしても『呪い』に出会いすぎる。ラインガルスは思った。


「チートン先生はアイギスの標は知ってる?」


 知らない、と返事がある。


「この世界が危機に陥ると『アイギスの標』が人間に力を与える仕組みがあるんだ、って、そうか、チートン先生は人間じゃないから違う?」


 その通り、とメモが上がる。


「アイギスの標と呪い、関係ないか」

「えっ、どうしてブタがメモを書いて、アイギスの標をふつうにしゃべっちゃってるの!それ秘密!ダメだよ」

「はーい」なぜかアガタが言った。

「それに私、大貴族の系譜なのにどうして偉そうなの、ラインも貴族?」ラインガルスへ、ルティが問いかける。


「まず自分が誰なのか記憶がない、おぼえているのはゲームだけだ」

「ゲーム?」

「予言書みたいなものかな、ページの絵が動く」

「それで、アイギスの標を知っているの?」

「そう、ダークパワーの使い手は知っているか」

「うん」

「あれは人間を滅ぼす『第九殲滅知性』という戦争知性が、超級騎士ハイロードを、いや、最初から説明しようか」


 歩みを遅くしてラインガルスは話し始めた。


「アイギスの標が人間を守護して、さまざまな力を与えている」

「うん」

「第九殲滅知性は、空の上から降ってきた。人間を滅亡させるために」

「どうして」

「ここから遙か遠くの星の世界に、とある種族がいて、人間に似た姿の種族に殺し尽くされそうになっていた、それに対抗するために殲滅知性を作りだし、勝利を収めた。第九殲滅知性は逃げた敵を討った帰り、この星を見つけた、おぉ、敵と似た姿の存在がいる。体は小さく、力も弱い、焼き切れた体は瞬時に回復できず、脆弱である、だが滅ぼしておくべきだろう」

「え、なにそれ」

「しかし、アイギスの標が強力に人間を守っていて、直接手を出すと勝てそうにない、どうしようかと第九殲滅知性は考えた。そうだ、人間を使って人間を減らそう、第九殲滅知性は人間を強化する技を、英雄や超級騎士ハイロードから学習し、独自のアレンジを加えて、闇の超級騎士ダークハイロードへと、力を渇望する人間を選び変化させた、人間を減らすほど、より力が手にはいるとささやいて」


 影が続く、ひんやりした空気、走ってゆく子供。


「当面の第九殲滅知性の目標は、ダークハイロードの強化と、魔王システムを完成させ、アイギスの標を消すこと」

「冗談、でしょ?」

「だといいな」

「それが本当だとして、ラインはなにをしてるの」

「とくに、なにも」

「どうして」

「ルティはドラゴンに勝てるか?、ストームドラゴンでいい」

「不可能」

「そう、そしてアイギスの標と第九殲滅知性の争いは、最上級のドラゴンを相手にするより難しい」

「でもトリコカバを倒せるくらい強いのに」

「チートン先生はね。でもチートン先生は人間が嫌いだ」


 嫌いじゃないよ、とメモが上がる。


「あれ、そうなのか」


 足が三本のチートンは人間嫌いだったのに。


「じゃあ、チートン先生が回復したら、チートン先生の気分次第かもしれない」


 小鳥が群れて飛んで行く。


「それに、アイギスの標も危機を察知して正式稼働するはず。そのあたりはよくわからない。アイギスの標の邪魔をしないように、おとなしく狩りをして」


「おいしいお肉を食べたい」アガタが言い継いで、うなずいた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ