表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫耳少女が歩く異世界  作者: 七氏
第2章 学園編 初等部
56/67

055 学園祭一日目1

 武術大会の控え室に1組目の生徒が集まった。

 今頃開祭の挨拶を学園長がしている時間だ。

 遠くで花火みたいな音がしてるし、派手にやってるんじゃないかと思う。


 控え室の空気は殺伐としていて誰も口を開いていない。

 たまにボソボソとしゃべる声が聞こえるけど、基本的にみんな喋らないので静かだ。


 今集まってる80人が4つのグループに分かれて戦うんだけど、見た限り当然ながらさっきの人はいない。

 やっぱりシードなんだろうな。


 見た感じ武装した生徒と魔術を使うような生徒の比率は半々で、ボクみたいなあからさまな私服は居ない。

 この世界の魔術もやっぱり媒体を使うと発動の助けになるようで、杖とか持ってる人が多い気がする。


 服装で言えばボクが一番目立ってる気がしないでもないけど…。


 特にすることもないので装備品のチェックをしていると入口のドアが開き、運営委員会の腕章を着けた生徒が穴の空いた箱を持って入ってきた。


「これより1組目のグループ分けを行います。

 呼ばれた方から順番にくじを引いてください。」


 組みごとのグループ分けはくじらしい。

 ランダム性は大事だよね。

 上級生っぽい人から呼ばれていき、ボクは最後に残ったくじを渡された。

 1年生でここに居るのはボクだけらしい。


 手渡されたくじにはBの文字が書かれていた。

 どういう仕掛けか知らないけど、全員の手に渡った時点で文字が見れるようになるっぽい。


 それぞれの組みごとに四つに分かれるとボクの組はボク以外男の人ばっかりだ。

 そもそも女の子がほとんど居ないから仕方ないんだけど、正直暑苦しいかも…。


「それでは、これよりグループごとに固まって移動をお願いします。

 グランウドに到着したらご自分のグループの文字が書かれたコートへ移動して下さい。」


 Bグループはボクを含めて魔術師は6人と残りは剣士や騎士っぽい装備の人が13人、武器を持ってない人が1人になっている。


 魔術師は近付いてしまえば対処はしやすいってのが通説だけど、持ってる属性によって対処はかなり変わってくる。

 ボクみたいに遠近両用は意外と少ないけどね。


 さぁ、そろそろ1組目の予選が始まる。

 区切られたグラウンドの枠に全員が収まったのを確認すると入学試験で実技の時に案内してくれた先生が声を上げる。


 「これより武術大会予選、第一試合を始める!

 各グループから一名の勝ち抜け、場外若しくは戦闘不能で脱落とする!

 あと、現在グラウンド内には結界が張られているため外部への影響は考慮しなくていい!

 さらに君たちはいくら怪我をしても外に出れば元に戻るよう特殊なフィールドとなっていりゅ!!」


 あ、盛大に噛んだ…。

 うわ…めっちゃ顔真っ赤にして恥ずかしそう…。


 「では、日頃の鍛錬の成果を思う存分発揮してくれ!」


 無かったことにしたようだ。

 その言葉を合図にそれぞれが試合の準備を始める。

 ボクも傘を握りいつでもダガーを抜けるよう備える。


 「第一試合、開始!」


 合図が鳴った。

 向こうの運動会みたいな火薬の音じゃなく、ドラ?みたいな金属製の器具からゴォーンという音が鳴る。


 まずは身体強化を発動し、左右の剣士っぽい人から距離を取る。

 やっぱり真っ先に狙われていたようで背中から剣が空気を切る音がする。

 真正面に立っていたのは確か魔術師っぽい人だったよな、と考えながら視線を走らせる。


 既に何箇所かで向かい合って先頭が始まっている。

 周囲を確認していると頭上からヒュン、と音がして風の刃が頬を掠める。

 即座に左に身体を逸らし発生源を探る。


 風の魔術で空中に飛んだらしい一人が次々に風の刃を降らせる。

 先日ミアが見せた水の弾丸程の連射速度ではないけど、それでもなかなかの数だ。


 ボクは傘を開いて風の魔術を起動して飛び上がる。


空中散歩エアウォーク


 いつも使ってる風の抜け道の応用、と言うか上位でまるで坂を登るように高度を上げる。

 障壁を発生させた傘に風の刃がバシバシと当たる音が聞こえる。


 探知魔術で相手との距離を測り傘の持ち手からダガーを抜きながら手を離す。

 傘は手から離れてそのままの速度で上昇を始める。


 傘の影から飛び出し一気に距離を詰めると慌てた相手が風の障壁を張るのが見えた。

 片方のダガーを相手の顔に向けて投げながら左に大きく飛ぶとさっきまでボクが居た場所を風の刃が束になって通過する。

 ダガーは風に弾かれそのまま落下していくが構わず再度特攻をかける。


 向き直った相手は再び魔術を起動しようと詠唱を始めるけど、その前にボクが相手の目前まで詰める方が早かった。

 目を見開いた相手の顔が間近に迫ったところで相手の頭上へ飛びながら魔術を起動する。


下降気流ダウンバースト


 接近したボクに合わせる形で発動した障壁も虚しく、相手は頭上からの気流に押しつぶされて真っ逆さまに落下する。

 見送るように下に顔を向けると丁度真下に2人ほど小競り合いをしているのが見えた。


 2人は落下した魔術師の下敷きになり3人が折り重なったまま動かなくなる。


 「ありゃ、思いがけず3人倒しちゃった…。」


 すぐさま下からボクに狙いを定めた炎の槍が飛んでくるのが目に入り、ボクはバク転でその槍を避ける。

 発生源を探そうと目を向けると既に近づいていた騎士っぽい装備の人に討ち取られていた。


 この時点で残りがおよそ6人まで減っている。

 魔術師はボク以外全員脱落したようで、下には武器を構えた生徒が小競り合いをしている。


 このまま上から眺めてても面白くないので空中散歩を止めて一気に落下する。

 10mちょっとの高さを一気に下り、地面スレスレで魔術を起動して落下の衝撃を殺しながら体制を整える。


 待ってましたとばかりに3人が手に持った獲物で切りかかってくるけど、見事に先に発動していた障壁に激突する。


 勢い余ってバランスを崩した右手の剣士との距離を一気に詰めてお腹の辺りに魔術を叩き込む。


空気爆弾エアバースト


 近距離で発動された魔術を防ぐ手立てもないまま場外に吹き飛ばされる。

 即座に反転して後退すると障壁の激突から復帰した2人が詰め寄ろうとして仲良く頭をぶつけている。


 結構いい音がして頭を抱えて痛がってる。

 戦場でそんなスキ見せちゃいけないよ、と心の中で呟きながら氷の魔術で2人の身体を拘束する。


『氷の牢獄アイスプリズン


 身体を動かす基点を地面に縫い付ける杭が貫く。

 武器も手放してるのでこの2人はこれ以上戦いようがない。


 残り二人の方を見ると向こうも丁度決着が着いたみたいだ。

 残ってるのは武器を持っていなかった人で、どうやら格闘だけで騎士っぽい人を制したようだ。


 相手との距離はおよそ30m弱、エリアのほぼ対角にいる。

 その人はボクが立っているのを見ると意外そうな顔をして


 「驚いた、1年生だろ?君。

 まさか魔術師が残るなんてね。しかも女の子が。」


 軽い口調で言うけど隙がない…。

 喋ってる間に吹っ飛ばして終わりにしようかと思って飛ばした魔術を軽く避けられた。


 「ありゃ、今の避けるの?」


 「そりゃああんな真っ直ぐ飛んでくりゃ避けるさ。」


 うーん、風と水だけで終わらせたかったんだけどなぁ。

 あんまり手の内は見せたくなかったけど仕方ない。

 袖に仕込んだタガーを一本抜きながら構える。


 「お?なに?近距離も行ける口?」


 ちょっと嬉しそうにしたながら距離を縮める。

 流石に身体強化くらいは使えるらしく、かなりの速度で迫ってきた。


 相手の進路上に風の刃を飛ばし右手に飛ぶ。


『鎌鼬』


 無数の風の刃が高速で襲いかかる。


 「おらぁっ!!」


 気合とともに振り抜いた腕に風の刃が弾き飛ばされ明後日の方向に突き刺さる。


 「うそぉ!?」


 これには素直に驚いた。

 魔術を素手で弾き飛ばすなんて聞いたことないよ!


 移動したボクの進路を塞ぐように相手が回り込んでくる。

 もう相手との距離は僅かしかない。

 咄嗟に相手の頭上を飛び越えるようにジャンプする。

 相手の肩越しに見えた影に向かって魔術を発動しながらダガーを投げる。


『縛影陣』


 ダガーが影に刺さるのと同時に相手が足を掴む。

 魔術で体の動きを奪われた相手はそれ以上の行動を許されない。


 空中で足を掴まれたボクは支えるものもないまま逆さまの宙吊りになる。


 「うわっ!?ちょっ、スカートが!?」


 「うお!?体が動かねぇ!

 って、あ…しrゲブァッ!!」


 掴まれてない方の足で思い切り蹴り飛ばした相手がそのまま気絶したのですぐさま魔術を解除して地面に降りる。


 「Bグループ、本戦出場はリリィ選手!!」


 審判を務めていた先生から勝ち名乗りが上がったけど、ボクはそれどころじゃない。


 慌てて控え室に引っ込むと角に座り込んでうずくまった。


 「見られた…。しかも人がいっぱいいるところで…。」


 あまりの恥ずかしさにしばらくそこから動けなくなったボクを次のグループが来るからと追い出した先生の顔をボクは絶対に忘れない!!

次回、喫茶スペースにて。

日付け変更前に書けたら投稿します。

間に合わなかったら明日の午前中に…。


ブックマーク下さった方々、ありがとうございます。

感想、ご意見などあれば是非ともお願いしますm(*_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ