表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫耳少女が歩く異世界  作者: 七氏
第2章 学園編 初等部
47/67

046 奇縁悪縁も縁のうち

 ミアの案内で町中を歩き回り、途中で買い食いしながらカンナへのお土産を探す。


「カンナのお土産何がいいかな?」


「私はお父さんからお土産にって渡されたティーカップにしようかなって。」


「これ。」


 ミアは流石商人の娘。既に確保済みらしい。

 シンシアは…ちょっと大きめのぬいぐるみだ。

 それってシンシアの趣味じゃ…いや、いいんだけどね?

 何のぬいぐるみかはあえて言わない。


 お土産を探しながら露天なんかを見て回る。

 ふと一件の露天が並べてる商品が目に止まる。

 色んなアクセサリーが並んでて、金属製の物からリボンみたいな布製まで色々ある。


 その中に真っ赤な石の飾られたピアスがあった。


「ねぇ、これどうかな?」


 二人に聞いてみる。


「うん。いいと思うよ。」


「あり。」


 「お、嬢ちゃん決まったか?」


 「うん。取り敢えずこれ下さい。」


 「あいよ!

 なんか土産っぽいし、包むかい?」


 「お願いします。」


 「任せとけ!」


 包んでもらってる間にほかの商品を眺める。

 ミアとシンシアにも何か買おうと思ったけど、目の前で決めるのはちょっと恥ずかしかったから後でまた買いに来ることにした。


 「ほれ、嬢ちゃん。」


 「ありがとうございます。」


 「じゃあリリィ、行こうか。」


 「あー、嬢ちゃん達、ちょっといいか?」


 「何でしょうか?」


 「土産買ったの相手も含めて仲がいいみたいだし、これやるよ。」


 そう言って差し出されたのは4色のリボンだった。

 赤、緑、黒、黄色。

 まるで狙ったようにボク達にぴったりだった。


 「ありがとうございます!」


 「それじゃあ帰ってからお互いに髪を結いましょ!」


 「それがいい。また買いに来てくれよな!」


 その露店を後にして、また町の散策に戻る。

 買い食いしたりウィンドーショッピングしたり、なかなか楽しい時間を過ごした。


 日も傾き始め、すぐに暗くなるのでそろそろ帰ろう、という事になった。

 流石ミアはこの町の出身だけあって道に詳しい。

 普通に大通りを歩いて帰ると家に着く頃には暗くなっているから、と近道を通ることにした。


 普段ならこんな裏道を歩く時は結界陣を使うけど、この時のボクは完全に気が緩んでいた。

 ミアが先頭を歩き、ボクとシンシアが後ろを追う形で歩いていた。


 ミアが四つ角に差し掛かった時横道から人が飛び出してきた。

 一瞬の間に横道から飛び出してきた人はミアの後ろから首元にナイフを当てて


 「おい、そこの二人動くんじゃねえぞ!

 ちょっとでも動いたらコイツの首元掻っ切るからな!」


 一瞬飛び出しそうになった足を止める。

 そんな様子に満足したように、


 「おい!言われた通りにしたぞ!

 さっさと済ませろよ!」


 と叫ぶと、屋根の上かどこかからボクの後に人が飛び降りてきた気配があった。

 振り返る間も無くボクの体が横に吹き飛ばされ脇にあった家の壁にぶつかる。


 「か…はっ……」


 子供程度の重さの体は思った以上に勢い良くぶつかったらしく、息が出来なくなる。

 ろくに受身も取れず地面に倒れたボクはお腹を蹴られもう1度壁にぶつかる。


 「リリィ!?」


 「ゲホッ!ゴホッ…」


 「おいクソガキいつまで寝てやがる!」


 ボクを蹴り飛ばした相手はそう言いながら髪をつかんで無理やり立ち上がらせる。


 「やっと会えたなぁ!

 てめえのせいで俺はあの街で信用を無くした上に溜め込んだ金まで失ったんだよ!

 この落とし前どうつけてくれんだ!」


 ソイツは入学試験前にボクに決闘で負けた冒険者だった。


 「ゲホッ…そんなの自業自得じゃないか…そんなことより、ミアに手を出してみろ、絶対に許さないぞ!」


 「ミア?あぁ、あのガキか。あっちには用はねぇが、テメエ一人どうこうしたところで腹の虫が収まんねぇ。

 ついでだからあのガキも奴隷商にでも売りつけるか。」


 その言葉を聞いてミアの方に目を向けると、首にナイフを当てられたまま怯えた表情をしていたけど、心配そうにボクの方を見ていた。


 「あなた達、リリィと何があったか知りませんけど、この町でこんなことして無事に出られると思ってるんですか!?」


 気丈にそう叫ぶけど、


 「あん?テメエらみてえなガキが一人二人消えたところでバレるわけねぇだろ。」


 「おじさん、相手が誰か知ってて言ってるなら下調べもろくに出来ないからボクなんかに負けるんだよ。」


 そう言うと冒険者の男は掴んでいたボクの頭を後ろの壁に叩きつける。

 あと少しの間、痛いけど我慢だ。

 この二人の意識をボク一人に向けるように仕向ける。


 さて問題です。

 ここまで会話しているのはボク、ミア、ミアを取り押さえてる冒険者っぽい人、目の前の男、この4人です。


 ボクは見た。さっきミアの方に目を向けた時、その後にシンシアがタイミングを見計らうように潜んでいるのを。


 あとはミアを取り押さえてる人が油断するのを待てばコイツはどうにでも出来る。


 「子供に喧嘩売って負けた挙句に闇討ちまがいの仕返し、冒険者が聞いて呆れる。

 こういう事してる方がよっぽど他の冒険者の品位を貶める行為だって気づかないなんて度し難い愚かさだよ!」


 あえて挑発する。

 少しでもボクに注意を向けてミアを助けるチャンスを作るために。


 「このクソガキが!

 舐めやがって、そんなに死にてえなら今この場で殺してやる!」


 そう言ってボクを地面に投げ捨てると腰の剣に手をかける。


 「おい!町中じゃやらないって言ってただろ!」


 ミアを取り押さえてた男が慌てて言うが、その拍子にミアの首からナイフが離れた。

 後ろで様子を伺っていたシンシアが頷くのが見える。


 「黙ってろ!コイツだけ殺してそっちは売ればいいんだよ!」


 そう言ってミア達の方に目を向けた瞬間に固まる。

 何故ならミアを取り押さえていた男は一瞬ミアからナイフを離した時に後からシンシアに奇襲を受けて伸びていた。


 一瞬呆気にとられた男がもう一度ボクに目を向ける前に動く。

 体があちこち痛むけど、頭に来ているボクには関係ない。


加速アクセル


 時の精霊と契約してから今までに色々試したけど、現状唯一使える時魔術だ。

 ボク一人だけの時間を加速して一秒間に二秒分動けるようにする魔術。

 効果時間が三十秒くらいしか無いのと、ボク以外に使えないけど、今はこれで十分だ。


 さらに身体強化を発動して相手の首の動きに合わせて死角に潜り込む。

 相手からしたら完全に消えたように見えるだろう。


 そのまま背後を取り、袖からダガーを抜きまずは両足のアキレス腱を切断する。

 膝を後から蹴り、崩れたところで両脇を下から切り上げ、腕を封じ、そのままダガーを納刀する。


 魔術を解除した瞬間、体のあちこちが痛くて倒れ込んだ。


 「「リリィ!?」」


 二人が慌てて駆け寄ってくるけど、魔術の反動と傷が痛くて返事もできなかった。


 「シンシア、通りに出て大人を呼んできて!」


 「分かった。」


 そう言うとミアはボクを抱き上げながら


 「無茶しちゃダメじゃない…でもありがとう。」


 「元々ボクが巻いた種だよ。

 怖い思いさせてごめんね。」


 口の中も切れてたけど、なんとか喋れた。


 すぐにシンシアが呼んできたおじさんと戻ってきて、ミアが事情を説明する。

 それを聞きながらあちこち痛いしもう休んでもいいかな?なんて思ったけど、元凶がボクだから我慢しようとしたけど、いつの間にか気絶してた。


 後から聞いた話だけど、二人の冒険者は誘拐の未遂と違法奴隷の取引を匂わせた為に冒険者資格の剥奪、その後犯罪者として裁かれるそうだ。


 その日ミアの家はてんやわんやの大騒ぎだったらしいけど、ボクは寝てたから知らない。

 ミアとシンシアはボクが寝てる間傷の手当とかしてくれてたらしい。


 次に起きた時にはギルドに事情聴取の為に呼び出されてると言われて逃げ出したくなった。

次回、ガチのお説教と事後処理のあれこれ。


ブックマーク下さった方々、ありがとうございます。

感想、ご意見などあれば是非ともお願いしますm(*_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ