045 友達と秘密
〜〜〜ミア視点〜〜〜
その日の夜、リリィに猫を見つけた方法を教えてもらおうと思って聞いてみた。
なんだか深刻そうな顔をしててちょっと不安になったけど、方法を教えるなら先に話しておかないと行けないことがあるって言われた。
「今から話すことは学園でも内緒にして欲しいんだ。
もしバレたら学園に居れなくなっちゃうから…。」
「リリィ、話しにくいなら無理に話さなくていいのよ?」
「ミア、リリィが決めたなら聞くべき。」
シンシアの言葉を聞いてリリィがぽつりぽつりと話し始める。
「カンナにも話はしてあるんだけど、ボクは猫の獣人じゃないんだ。」
そう言いながらいつも着けているチョーカーを外すと、パサっと音を立ててリリィの服が床に落ちた。
その中から一匹の猫が顔を覗かせた。
「リリィ…なの?」
頷いたリリィが床に落ちたチョーカーを咥えると、そこには見慣れたリリィが座っていた。
「ボクは本当はただの猫なんだ。
それを拾ってくれたエレナさんが知り合いに魔導具を作ってもらったから獣人みたいな姿になれてるだけなんだよ。」
そう言うと不安そうな目をしたリリィが伏し目がちにこちらを見る。
「猫が人の振りをして学園に通ってるなんて気味が悪いとは思うんだ。
だけどせめて卒業までは内緒にしてて欲しい。」
そこまで言ってリリィは俯いてしまう。
「リリィ、顔を上げて。」
名前を呼ばれたリリィは肩をビクリと震わせ恐る恐ると言った感じで顔を上げる。
「そんな事で私がリリィの事を嫌いになるわけないじゃない。
心配しなくても、バラしたりしないわ。」
「リリィは心配しすぎ。」
「でも、ボクは…皆を騙してたんだよ…?」
「そうね、秘密にされてたのはちょっと寂しいけど、誰だって人に言えない秘密くらいあるものよ?
それに、こうして話してくれたじゃない。」
「騙されたつもりもない。」
「ミア…シンシア…」
「それに、猫だろうが獣人だろうが、リリィはリリィじゃない。」
「猫が学園に通っちゃいけないなんて決まりはない。」
「ありがとう…。」
「でも、先にカンナには話してたって言うのはちょっと悲しいな。
どうせなら最初に話して欲しかったのに。」
「同じ部屋だったから…隠しきれないと思ったって言うのもある。」
「それにしても、まさかリリィだったとはね。」
「何が?」
キョトンとしてるリリィが首を傾げる。
「学園の噂よ。
時計塔に現れる銀色の猫の話。
撫でると幸運が訪れるって一時期皆して探してたのよ?」
「ボクを撫でても幸運にはならないのに?」
「噂なんてそんなものよ。」
大真面目なリリィにちょっと笑ってしまう。
「でも撫でてみたい。」
「私も撫でてみたいな。」
二人でそう言うと少し迷ったリリィばまたチョーカーを外す。
綺麗な毛並みの猫が私達の膝先に頭を擦り付ける。
「やっぱり。綺麗な毛並み。」
「この手触りはクセになる。」
ちょっとくすぐったそうにしてるけど、遠慮なく撫で回すと、喉がゴロゴロと鳴る。
そういう所らやっぱり猫なんだなぁ。
〜〜〜リリィ視点〜〜〜
やっぱり思い切って話してよかった。
追い出されたり学園に知らされて通えなくなるかも、って心配してただけに尚更だ。
受け入れてくれたのはすごく嬉しい。
でもね…寝る間も撫でられると落ち着かないよ…?
今ボクは二人に挟まれて寝ている。
これは昨日と同じ。
ただ、猫の姿ってこと以外、
ミアは受け入れてくれた場合の反応としては予想通りだけど、シンシアが猫好きだったらしく今までに見たことない位テンションが上がってた。
しかもボクの知らないところで噂になってたらしい。
ボクに触っても幸運なんてならないのに、噂ってよく分からないね。
でも暴露した後に近くにいた猫に聞いて、本人?に話をしてきたことを話したらあっさり信じてくれた。
まぁボクも猫の言葉が分かったのは意外と言えば意外だったけど。
閑話休題
何にせよ、友達に隠し事が減ったのは良かった。
でも前世の話は流石にできなかった。
記憶が歯抜けで曖昧なのもあるけど、中身が元男だってバレたら流石に今の関係が崩れる気がする。
考えすぎなのかなぁ?
カンナにも言われたけど、ボクはいろいろ難しく考えすぎらしい。
でも、何も考えずに行動するのはやっぱり怖い。
嫌われたくない。
もしみんなに嫌われたら卒業まで学園に通い続ける自信が無い。
それはエレナさんの期待を裏切ることにもなる。
それだけはしたくない。
とにかく、転生の話はまだしない方がいいと思う。
心配事がひとつ減って心が軽くなったのか、考え事をしていたらしいつの間にか寝ていた。
翌朝目が覚めると二人に挟まれたままだった。
特にシンシアはボクの背中に頬ずりした状態のまま寝てる。
鼻に毛が入ったりしないのかな?
って言うか起きてるよね、これ。
まぁいいや。
二人の腕から抜け出して人型になり身支度を整える。
シンシアはやっぱり起きてたらしく、名残惜しそうに眺めていた。
「そういえば、今日はどうするの?」
「未定。」
「だよね。ミアが起きたら話そうか。」
「そうする。」
ボクはそれだけ話すと朝の散歩に出かける。
やっぱり知らない土地は新鮮で、その町独特の喧騒が心地よかった。
いつもの散歩より少し時間が遅いこともあって、既に商店のいくつかは営業していた。
八百屋さんみたいなお店で果物をひとつ買い、齧りながら歩く。
ギルドの前を通ると冒険者の人達が依頼を求めて集まっていた。
こう言うのはどこの町も同じなんだなぁ。
なんて思いながら通り過ぎる。
その中の何人かが険しい顔でボクを見ていたことにも気付かずに。
次回、なにやら不穏な空気です。
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