043 ミアの故郷とギルド
〜〜〜ミア視点〜〜〜
入学してから、何度か手紙でリリィとシンシアとカンナの話を書いていたおかげで、両親は二人の訪問を快く受け入れてくれた。
リリィもシンシアも喜んでくれてたようだし、誘ってよかったと思う。
寝る時にリリィを真ん中にして三人で並んで眠った。
シンシアはカンナと私の話を聞いてからリリィを1人にするのは良くない、と言って今回の私の帰省にリリィを同行させる方法を考えてくれた。
きっと私たちの中で一番リリィの行動パターンを把握してるんだと思う。
何だかんだで皆リリィが好きなんだな、って感じた。
そのリリィは今、隣で小さく寝息を立てている。
その顔を見つめて思う。
確かに入学試験の少し前から比べれば仲良くなれた、と。
でもこの子はいつも私達との間に壁を作ってる気がする。
親の居ない境遇の他にきっと何か言えない心の傷を抱えている。
そんな風に感じる時がある。
あまり感情を表に出さないのも、人と深く関わる事を恐れているような。
卒業してしまえばきっとみんなと離れ離れになる。
だから離れた時に一人になっても平気なように。
考えすぎかな?
なんて思い、リリィの頭を撫でる。
翌日、朝から久しぶりにご飯を作る手伝いをしたり、お店の手伝いをしたりきて過ごした。
「リリィ、今日は皆で出かけない?」
お昼ご飯を食べた後は好きにしていいと言われたので、遊びに誘ってみたら
「うん。ミアに案内して欲しいな。」
なんて言ってくれた。
そう言えば課外授業以外で冒険者として活動できてない、って言ってたしギルドに案内してあげるのもいいかもしれない。
あれこれ考えながら皆で外に出る。
〜〜〜シンシア視点〜〜〜
長期休校の直前にミアに、リリィを自分の家に招待する方法を相談された。
リリィは家族の団欒を邪魔しちゃ悪い、と言って断ったと聞いた。
なんともリリィらしい発想だけど、分からないでもない。
ミアはきっとリリィが遠慮してるんだと思ったんだろうけど、多分それだけじゃない。
それでも食い下がってくるので自分も一緒に行くって言えばリリィも断らないと思う、と伝えたらやっぱり断らなかったらしい。
一緒に居たいならそう言えばいいんだけど、きっとリリィはそう言わない。
自分の感情より周りに気を遣う。
やっぱり親が居ない相手に家族の団欒を見せるのは正直気が進まない。
ミアは家族が居るのが当たり前だから気づかないだろう。
自分の持っていないもの、手に入らないものを見せられる辛さなんて。
1度考え直して断ろうかと思ったけど、長期休校の間一人になったリリィがどうするか考えたら、気が進まないけどミアの家に招待した方がまだマシに思えた。
ミアは気づいているのか分からないけど、リリィは私達には言えない大きな問題を抱えている。
クラスで私達の他に親しい友人が居ないのもきっとそれが原因だろう。
三年経てば別々に分かれてしまうなら必要無い、とリリィが零した事がある。
皆で居ても時折寂しそうな表情をしている事もある。
ミアの家に来てからも、ミアが両親と楽しげに過ごしているのを少し離れて見ている時にとても寂しそうだった。
やっぱり寮で冒険者として活動していた方が良かったかな、なんて思うけど来てしまった以上仕方が無い。
それに、ミアとカンナは卒業後どうするのか分からないけど、自分ならその後も冒険者としてリリィを支える事が出来るかもしれない。
それをリリィが望むかは分からないけど。
沈んでいた思考を切り替え、とにかく少しでもリリィを楽しませるにはどうすればいいか、を考えよう。
きっと皆で居るのが楽しいと思えれば、今よりいい方向に向かうと信じて。
〜〜〜リリィ視点〜〜〜
午後からミアの案内で町の中を歩き回る。
やっぱり道を歩いているだけでミアに挨拶していく人が多い。
まぁミアの性格と容姿を考えたら、好かれることはあっても嫌われることは少ないだろう。
町の中には特にコレと言った特産品があるわけじゃないけど、どのお店も品揃えは豊富だった。
交易の要として機能してる証拠だろう。
「ねぇ、リリィ。
ギルドも少し覗いてみる?」
「あ、いいね。ちょっとどんな依頼があるのか見てみたかったんだよね。」
ミアが提案してくれたのでここぞとばかりに乗っておく。
ギルドに入ったら、知らない土地ならこんな子供が三人で入ってきたら絡んでくる人が居そうなものだけど、この町の冒険者にもミアは人気があるらしい。
「お、ミアちゃんじゃないか。
長期休校かい?」
「はい。友達も一緒に来てくれたんですよ!」
「後ろの二人かね?
何もない所だけどゆっくりしてってくれよ!」
「「はい。ありがとうございます」」
クマみたいなおじさんがドスドスと近くに来て言う。
ボクなんておじさんの腰より少し高いくらいだ。
大きすぎ…。
「そう言えば学園に行けば課外授業で冒険者登録が必要になるのか。
休みの間のお小遣い稼ぎならいいのがあったら教えてあげよう。」
「あ、ありがとうございます。
でもボクは六級だから普通の依頼でも大丈夫だよ?」
「ほう、こんなに小さな女の子が六級か!
将来が楽しみだ!」
ガハハ、と豪快に笑う。
いい人っぽいけど大きいってだけで結構怖い。
おじさんはカウンターの中に戻っていったのでボク達も掲示板の前に移動する。
やっぱり交易が多い町は護衛も多いな。
他にも薬草やモンスター、魔獣の部位なんかの収集依頼も多い。
討伐系も盗賊なんかが多いみたいだ。
まぁ商人が多い土地なら仕方ないのかな?
結局今日は依頼を受けずにそのまま町の中を散策して過ごした。
シンシアの提案でどうせ受けるなら朝からいくつかまとめて受けよう、って事になったからなんだけどね。
「ミア、今日はいろいろ案内してくれてありがとう。
楽しかったよ。」
「私こそ。それじゃあ明日に備えて今日は早めに帰りましょっか。」
「そうだね。お腹も空いてきたし。」
「賛成。」
こうしてその日も穏やかに過ぎていった。
無口で聡いキャラって難しいですね(o´Д`)=зフゥ…
次回、ミアの町で依頼を受けます。
そして忘れ去られてるあの人が出てくる!かも?
今日中に更新は出来たら、で。
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