034 授業とクラスメイト
良く翌朝、日課の散歩に出てみると朝から学園内を歩いている生徒を何人か見かけた。
やっぱり授業が始まるから早起きしてる人が多いのかな?
見つかって捕まるのはまずいので隠れていつもの場所に行く。
時計塔の上はやっぱり見晴らしがいい。
下を見下ろせばやっぱり生徒が歩き回ってるのが見える。
降りる時大変そうだな…。
満足して帰る時、見つからないようにするのが大変だった。
寮の近くにも人が居て、なかなか入れなくて困った。
とは言え、まだ生徒の数が少ないタイミングはあったのでなんとか無事に帰れた。
部屋に戻るとカンナはいつも通り起きて身支度を整えていた。
ボクも急いで用意して食堂に移動する。
いつもより遅かったけど、それでも早めに起きて用意してるのでそれほど混み合ってなかった。
席取りの必要もなく四人席が確保できた。
「今日から授業だね。」
「勉強やだー!」
「なんで入学したのさ…。」
他愛もない会話を交わし食事を済ませる。
少し早いけど教室に行き、授業に必要な教科書を私物置きから取り出す。
やっぱり教科書はまとめて持つとちょっと重い。
ミアの席に集まって話をしていると、一人、また一人クラスメイトが入ってくる。
「おはよー。」
と挨拶を交わし、それぞれのグループに分かれていく。
ミアの席は窓際で、丁度朝日が差し込んでいて暖かい。
この世界にも四季に似た季節があり、日本に比べると秋が短く冬が少し長い。
雪も地方によっては降るそうで、この街も毎年雪は降るらしい。
今日の授業は午前は一般教養と魔術理論、歴史の三科目だ。
魔術理論は初歩的な所からなので、ボクはもう必要なさそうだった。
教科書を見ても、エレナさんの所で覚えた内容がほとんどだ。
授業内容の予想なんかを話してると予鈴が鳴りそれぞれの席に戻る。
ローウェル先生が本鈴前に教室に来て数人の生徒と話をしていた。
この先生、結構フレンドリーで嫌いじゃないかも。
ホームルームは明日からの日直の順番とクラス内の役割の振り分けに使われた。
役割も持ち回りたのでそのうちボクにも回ってくる。
なんだか前世の学校を思い出して懐かしくなる。
ホームルームが終われば授業が始まる。
ローウェル先生は一般教養と歴史を受け持ち、魔術理論は別の先生が来るようだ。
授業内容はやはり基礎の域を出ないので、ボクにとっていまさらな内容ばかりだった。
流石に寝ると怒られそうだったので、新しい魔術式を考えるのに費やした。
今考えてるのは、人化の術式をチョーカー無しで成立させる術式だ。
チョーカーを使っていると、身体強化の術式が自力で使えないため、服が破れたりして術式が欠けると使えなくなる危険が高い。
空間属性はまだまだ扱いが難しく、既存の術式以外全然作れない。
まだまだ勉強が足りないようだ。
図書室通いはしばらく続きそう。
難しいことを考えてるとあっという間に時間が過ぎる。
お昼はいつものように食堂で席取りをして4人で食べた。
午後からは実技の授業がある。
魔術組と武器組に分かれて行われるので、シンシアとカンナは分かれることになる。
魔術組みも属性が合う人が居れば同じ属性で組むことになった。
ミアは光と水だからボクとは組めなかった。
ボクの相手は風属性を扱える男の子だったので、それぞれ魔術を見せ合い、意見交換をする。
この子の名前なんだっけ?
相手はボクの名前を覚えててリリィちゃんって呼んでた。
「ねぇ、ボクはなんて呼べばいいかな?」
「俺はディードリットって名前なんだけど好きに呼んでくれていいよ。」
「うーん、それじゃあリット?」
「お…おぅ。なんか新しい呼び方だな」
「人の呼び方とか考えるの苦手なんだ。」
「まぁいいや。あらためてよろしくな。」
なんて話してると周りからリットに視線が飛んでた。
「呼び名考えてもらうなんて羨まし…」
とか
「リリィちゃんに蹴られちまえ」
とか?うん。別に蹴らないからね?
「こちらこそ。よろしく。
あんまり話すの得意じゃないから言いたいこと良くわからないかもしれないけど。」
「いやいや、アドバイス貰えるだけでも十分だって。」
「そう?まあいいや。
とりあえず得意なの見せ合うのでいいのかな?」
「あぁ。俺はあんまり細かい魔力操作が得意じゃなくてさ。どうやっても範囲が広くなっちまうんだよな。」
「そうなの?じゃあリットから先に見せて。」
「OK。『風よ、集い吹き荒れろ。眼前に立ち塞がりし全てのものを薙ぎ払え』
『暴風』」
途端に強い風が吹き、ボク達の前に作られた標的と、その周りの土を抉る。
確かに大雑把だった。
パーティー組んでて使える代物ではないね。
「風をそのまま強くするから範囲が広くなるんだね。
そもそも風の魔術は空気の流れを操作できるんだから、小さく、鋭くってイメージすればかなり規模は抑えられるよ。例えば、『鎌鼬』」
新しい標的が風の刃で細切れにされる。
「これは風を薄くて鋭い刃ってイメージで飛ばした場合だね。
後は『下降気流』」
今度は別の標的を中心に直径1m位が10cm位凹む。
「これは空気を塊にして叩きつけるイメージ。
風魔術は形も温度も関係ないから、かなり自由度の高い術式だと思うよ。」
リットの方を見ると、ポカーンって感じで呆気にとられてた。
「リット?聞いてた?」
「お、おぅ。すまん。思った以上に高度で驚いてた。」
「魔術はイメージ。まずは想像力を鍛えて風をどんな形で表現するか、が大事。」
「なるほどなぁ。
なぁリリィちゃん、今度個人的にコーチしてもらったり出来ないか?」
「ルームメイトとかと勉強会やってるから他ではやる予定ないかな。」
「そっかぁ。まぁ実技で組んだ時だけでも色々教えて貰ってもいいか?」
「それくらいなら。でも一つ注意しておくと、あくまでボクのイメージはボクの想像力から生まれたものだから、話を聞いたりしたところで理解出来ないと再現は難しいよ?」
「あぁ。それでも発想を聞くだけでも新しいイメージの役には立つだろ?」
「そうだね。
じゃあ次までの宿題出してあげる。風を強くするにはどうすればいいでしょう?
これが分かれば範囲を狭めるヒントになるよ。」
「風を強くする方法?
でも強くなったら範囲も広くなるよな?」
「それは今のリットのイメージだよね。
だからそれに気づけばコントロールもやりやすくなると思う。」
「なるほどなぁ。
ありがとな。次の実技までに考えてみる。」
「頑張って。」
と 今日の実技はここまでだ。
この後はホームルームと掃除をして今日の授業は全部終わりになる。
掃除中、男子が何人かリットの所に行ってサボってたけど、カンナに注意されてた。
やっぱりカンナはみんなに溶け込むのが早い。
人と話すのが好きみたいだから当然と言えば当然かも。
そういう所は素直に凄いと思う。
掃除が終われば後は自由時間だ。
今日もグラウンドか図書室で勉強会がある。
皆勉強は嫌だとか言いながら参加してる。
上昇思考はいい事だと思う。
掃除も終わったし、みんなの所に行こう。
まだまだ日常パートが続きます。
ディードリットのあだ名考えてなくてしばらくフリーズしたのは内緒のお話。
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