033 準備と贈り物
投稿遅くなってしまいすみませんでした。
ミアにサンドイッチとスープの注文を任せて席を確保する。
四人席の一つに腰掛けて周囲を見回すとやっぱり混んでる。
時々通り過ぎる人がこっちをチラチラ見てるのは、四人の席に一人で座ってるからだろう。
何人か
「ここ空いてますか?」
とか聞いてくるけど、あと三人来るのでごめんなさい。
しばらくすると三人がご飯を持って席に着く。
「リリィおまたせ、やっぱり席の確保してもらえるのは助かるね!」
「はい、リリィのサンドイッチとスープ。」
「ミアありがとね」
「席取りお疲れ。」
「じゃあ、ささっと食べちゃおう。」
Aクラスの生徒は学費の割引とは別に、1日3食まで学食のみ無料で食べられる。
お金を節約したい学生の身分としてはありがたい限りだ。
「それで今後の予定なんだけどさ、課外授業に冒険者ギルドに登録が必要になるらしいから登録に行こうと思うんだけどどうかな?」
「あ、ボクはもう登録はしてるけどギルドに行くのは賛成」
そう、決闘の勝ち金まだ受け取ってないんだよね。
「私も賛成です。それにリリィと一緒なら街の外の依頼も受けれますし。」
「私もある。けど行くのは賛成。」
「じゃあ、午後からはギルドに行くってことで。」
「リリィ、等級いくつ?」
「ボクは六級だよ。」
「凄い。私はまだ八級。」
「リリィがオカシイのはもう慣れてきたよ。」
「そんなにおかしいことじゃないと思う。」
ふてくされてサンドイッチを頬張る。
その後も依頼を受けるならどんなのがいいか、とか依頼書の注意して見るべきポイント、とか話しながらご飯を食べる。
***************
4人で冒険者ギルドに行くと、入った瞬間何人かがザワザワっとしたけど無視無視。
それより決闘で負かしたマーカス?って人は居ないかな?
2人が登録してる間にお金受け取らなきゃ。
「ねぇ、この中にマーカスって知ってる人いない?
決闘の勝ち金まだ受け取ってないんだけど。」
「あいつならアンタに負けてからしばらくして居なくなっちまったよ。
確かカウンターに預けてるはずだぜ。」
「そっか。ありがと。」
別に負けたからって街を出る必要も無いのに。
まぁ気持ちはわからないでもない。
こんな子供に決闘で負けたら信用とか色々失うものもあるって先に考えるべきだよね。
二人の登録もまだ時間がかかりそうなので、空いてるカウンターへ行き、一通り事情を説明すると預かっていた金貨5枚を無事に受け取る。
前世の金銭感覚で言うと、金貨1枚で十万円分位にはなるので、臨時収入で五十万円前五になる。
不労所得みたいなものだけどね。
ちなみに学園の費用は寮も込みで通常は金貨五十枚ほどになる。割引してもらって三十枚になったけどね。
カウンターで金貨を受取ると、丁度二人の登録も終わっていた。
そのまま依頼書を見に行ってみる。
学生向けの依頼も多く、基本的にはお手伝いなんかの簡単なものばかりだ。
学生と冒険者の両立は難しく、特に討伐依頼なんて1日で帰ってこれない場合も多い。
そうなると学校を休むことになるので、余程のことが無い限りは許可が下りない。
まぁ、この4人ならボクが居るから受けられる以来の幅は広いんだけどね。
「それじゃあ登録も終わったし、装備とか揃えなきゃだね!」
シンシアとボクは冒険者として活動してたから装備は揃ってるけど、ミアとカンナはまだ何も持ってない。
1番体格の良いカンナとボクが前衛、シンシアが物理後衛、ミアが魔法後衛と支援。
意外にもバランスが取れてるね。
まずはドワーフのおじさんの武器屋でカンナの武器を選ぶ。
体格がいいと言ってもやはり女の子ではあまり思い武器は扱えない。
一般的な片手剣1本と予備のバックアップのショートソードに、片手用の盾を購入する。
ミアは魔術を短縮登録出来る杖1本とダガーを購入した。
この短縮登録は基本的に1度決めると変えられないし、杖に使われている魔石が消耗品なのであまり長期での利用には向かないけど、課外授業位なら問題なさそう。
その後はカンナが軽鎧を一式購入して装備は揃ったことになる。
シンシアは弓と投擲用の武器をよく使うらしいので、矢は使ったらすぐに補充、ということに決まった。
今回買った装備のお金は決闘の勝ち金から出させてもらった。
いくら割引して安くなったとはいえ、学生生活を送る上でお金は節約しなきゃいけない。
この中でボクが一番お金に困らないってのもあるんだけどね。
「リリィ、本当にいいのかい?
嬉しいけどさ。」
「いいよ。今回のお金は全部苦労しないで手に入れたお金だから。」
「決闘を苦労てないってのがまずおかしいんだけどね…」
呆れる三人をスルーして学園に戻る。
「じゃあボクは一旦部屋に戻るよ。
ちょっとやりたいこともあるし。」
「それじゃあ私達はいつも通り図書室で勉強会やってるから、後で合流でいいかい?」
「うん。用事を済ませたら向かうよ。」
さぁ、みんなの為にボクはボクに出来る事をやろう。
****************
部屋に戻ったボクはすぐに荷物から魔術式を縫い込む為の糸と布を取り出す。
まずはミアの防御用の術式と身体強化の術式だ。
自分用にいくつか作ったこともあるから、余程油断しなければ失敗はしない。
魔術式を布に縫い込むには魔術糸と呼ばれる特殊な糸を使う。
魔力を通しやすく、丈夫で長持ちする。
1度作れば学園生活でなら1年は問題ないはず。
道具を広げて一つずつ縫い込んでいく。
カンナとシンシアにも同じものを作るけど、2人には身体強化とは別に腕力強化も作る。
複数の魔術式を仕込むのは魔力の量によってはあまりおすすめできない。
けどボクが魔道書から学んだ知識には、魔術式を作る段階で魔力効率をかなり良くする方法などもあった。
今のボクに作れる最高の魔術式を3人分作ると、夕飯まであと少ししか時間がなかった。
急いで図書室に向かうと、皆は勉強に使った本などを片付けていた。
「遅くなっちゃってごめん。
思ったより時間がかかっちゃって…。」
「いいよいいよ。で、何してたのかは聞いても大丈夫?」
「うん。皆に魔術式を書いてたんだ。
装備の裏側に縫い付ければ魔力を通すだけで効果を得られるようにしておいたよ。
これがカンナの分で、こっちはシンシア。
ミアの分はこれ。」
皆は布に縫い込まれた魔術式を見つめる。
「凄い。これ、すごく複雑な魔術式を使ってる…。」
「魔道書読んでて覚えたんだ。
魔力効率が良くなるようにするとどうしても難しくなっちゃうから時間がかかりすぎちゃった。」
「一応言っておくけど、魔術式を書くのって1日で何枚も出来ないからね?
それを3人分って…ほんと規格外だわ…。」
「でも、こんなの貰って本当にいいの?
リリィが作ってくれたのは嬉しいけど、なんだか申し訳ないわ…。」
「いいのいいの。これからパーティー組んで依頼を受けることもあるだろうから、冒険者として先輩のボクからの贈り物だと思ってよ!」
皆が喜んでくれるのが嬉しくて自然と笑顔になれた。
「そんな顔されちゃ断る方が無粋だね。」
と諦めたような声を出すカンナ。
「でも、あくまで身を守るための保険だと思ってね?
自分の安全は自分で守る、予期しない事態が起こった時の為の備えだから。」
「もちろん。でも、本当にありがとう。リリィ」
ミアが頭を撫でてくれる。
ちょっと照れくさかったけど嬉しさの方が大きくてミアに抱きつく。
ちょっと驚いて動きを止めたけど、優しく抱きしめてくれた。
もうちょっとこのままで居たかったけど、ボクのお腹が邪魔をするように鳴ったので食堂で夕飯を食べることにした。
さあ、これで準備は万端だ。
明日から本格的に始まる新学期が楽しみになってきた。
次回は授業開始です。
日常パートがしばらく続きます。
今日中にもう1話投稿します。
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