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猫耳少女が歩く異世界  作者: 七氏
第一章 猫耳少女
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002 猫耳の少女2 カール視点

救助された冒険者のカールさん視点です。

森の街道を通る商人の護衛、七等級の依頼としては簡単な部類のはずだった。

人通りもそれなりでモンスターの遭遇件数もそんなに多くない。盗賊の目撃情報が無いことも事前に確認していた。


「4人で行けば問題ないと思うが、異論はあるか?」


「特に問題もないし、大丈夫だと思うわ。」


「なら予定通り申請だな」


パーティーメンバーの意思確認を済ませ、依頼受理の申請をする。

六等級は俺1人だが他のメンバーも昇級目前の七等級だ。余程のイレギュラーが無い限り比較的楽な依頼だと判断した。



目的地まで半刻も歩けば到着と言う地点の馬車道でウルフの群れに遭遇した。

当然最優先するべきは依頼主の安全だ。これは譲れない。

次に考えるべきはこのまま逃げるか、倒して進むか、だがウルフの数が多い。

3匹や4匹ならこのまま倒して進むことも出来るが、10匹を超える群れだ。

ここで倒すのに手間取りさらに数が増えれば全滅もあり得る。それだけは避けなければいけない。

なら選択肢は逃げの一手だ。だがこのまま逃げたところで後ろから襲われて少しずつ戦力を削られ、最後には全滅だ。

さらに言うなら逃げた方向からウルフの増援が来る場合だ。

こうなったら挟み撃ちに逢い確実に全滅だろう。なら誰かひとりが足止め、その間に商人の馬車と3人が逃げるしかない。

これなら仮に逃げた方向から増援が来たとしても多少なら持ちこたえられるだろう。


「俺が残って足止めする!お前らはさっさと馬車と一緒に逃げろ!」


なんて格好つけたこと言ってみたが正直言えば今すぐにでもここから逃げ出したいくらいだ。


「街についたらギルドに救助を頼む。それくらいならなんとか耐えてみせるさ」


彼女が泣きそうな顔で振り返る。そんな顔をされたら折角格好つけて覚悟を決めたのに決心が揺らぐ…。

馬車が走り出す音がする。ウルフが追いかけようとするが後ろから斬り捨てる。

1人残った獲物を遠巻きに囲っているウルフが威嚇するように吠える。

剣を持つ手が震える…耐えてみせるなんて言ったもののウルフ5匹倒したあたりで既に生き残るのは諦めた。

せめて仲間が背後から襲われないようにこいつらを相打ち覚悟で仕留める。安易に依頼を受けて巻き込んだ仲間の為に今の俺ができる精一杯の悪足掻きだ。


「来いよ、犬っコロ共」


・・・

・・・・・

・・・・・・・


ウルフの群れを何とか倒したものの、このケガじゃ街まで歩くのは無理そうだった。

何とか街道の脇のの森にある大木の虚に体を押し込む。

手持ちの傷薬は預けたままだった。

血の匂いに誘われたモンスターにでも襲われれば万事休すだ。

可能な限り止血し体力の消耗を抑える。仲間が街に着けば捜索依頼を出してくれることを祈って体を休める。


「お兄さん、生きてますかー?」


意識が朦朧としてきたところで突然声が聞こえた。

驚いて顔を上げるといつの間にか目の前に小柄な少女がのぞき込むように立っていた。

フードを目深く被り顔全体は見えないないが、細い顎と柔らかそうな唇が見えた。

突然の事に思考停止していた所で少女が重ねて声をかけてきた。


「お兄さんがカールさんですか?」


どうやらこの少女は自分の事を知っている?らしい。


「確かに俺がカールだが、どうして俺の名前をお嬢ちゃんが知っているんだ?」


と答えると少女の口元が綻ぶのが見えた。


「お兄さんの仲間がギルドに捜索依頼を出して、それをボクが受けてここに来たんだよ。」


あぁ、どうやら仲間達は無事に街にたどり着いたらしい。しかもすぐに捜索依頼を出してくれたようだ。

と、仲間のことを考えていたら少女が懐から何か取り出しながら言う。


「あぁ、そうだ。カールさんが倒したモンスターの死体も回収してるので街に帰ってからお渡ししますねー」


と言いながら、そのまま虚に押し込んでいた体に少女が札のようなものを貼り付ける。

呆気にとられていると周囲の景色がぼやけ、一瞬の浮遊感のあと目の前に依頼で目指していた街の門が現れた。

あまり魔術符には詳しくなかったが、確か転移符と呼ばれる魔術式を封じた札があると聞いたことがある。

まさかこんな少女が持っているとは、とまた思考停止していたら少女に手を引かれて街の中へ入っていった。


大きな建物の前で手を離され、


「それじゃギルドに報告に行きましょう。お仲間さんも待ってるはずですからね。」


少女が1人でドアを開き、中に向かって声をかけているのが見えた。


「ニーナさん、戻りましたよー」

ギルドに登録された冒険者は十等級から始まり、七等級で脱初心者、五等級以上でベテラン扱い、くらいです。


魔術符は魔術式を書き込み、魔力を通すと発動します。

簡単なものから複雑なものまで、魔術式で構成される魔術なら基本的には何でも魔術符に出来ます。

ただし、簡単なものは材料費と手間の方がかかるので、基本的には詠唱が面倒な魔術を書き込む場合が多いです。


感想、ご意見などあれば是非ともお願いしますm(*_ _)m

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